アドバンテスト(6857)2026年3月期 第1四半期決算分析

企業概要

株式会社アドバンテスト(証券コード:6857)は、半導体および電子部品向けのテストシステム製造を主力とするエレクトロニクス企業です。特に、SoC(システムオンチップ)やDRAMなどの高性能半導体向けテスト機器をグローバルに展開しており、AI・HPC分野の成長を背景に需要が急増しています。直販体制を中心に、海外売上比率は約98%と極めて高く、アジア・北米を中心に事業を展開しています。近年はAI関連の需要を背景に高収益製品の構成比が上昇しており、過去最高益を更新するなど急成長を遂げています。


定量分析

決算数値の比較(単位:百万円)

項目 2025年3月期
第1四半期
2026年3月期
第1四半期
2026年3月期
通期予想
売上高 138,725 263,776 835,000
営業利益 31,325 123,952 300,000
経常利益 31,930 121,357 297,000
純利益 23,873 90,180 221,500
EPS(円) 32.35 123.14 302.71
配当金(円) 39.00 未定 未定

財務諸表の変化点(2025年3月末 → 2026年1Q末)

  • 資産構成

    • 現金および同等物:+109億円(2,625億円 → 2,734億円)

    • 有形固定資産:+18億円(786億円 → 804億円)

    • 営業債権・その他債権:+149億円

  • 負債の変動

    • 未払法人所得税:▲285億円

    • 営業債務およびその他の債務:▲84億円

    • 有利子負債(借入金+リース負債):微減(▲1億円)

  • 純資産

    • 親会社所有者帰属持分:+677億円(5,065億円 → 5,742億円)

    • 自己資本比率:59.3% → 64.5%

  • 減価償却費

    • 61億円(前年同期比▲1億円)

  • キャッシュフロー

    • 営業CF:+469億円(前年:+277億円)

    • 投資CF:▲34億円(前年:▲84億円)

    • 財務CF:▲310億円(前年:▲146億円)


定性分析

観点 前期比で良くなった点 前期比で悪くなった点
経営成績 売上・利益ともに四半期ベースで過去最高を更新。AI向け半導体テスタ需要が急拡大し、高収益製品比率も上昇 販売管理費が微増(+5.9%)、為替はやや円高(ドル:153円→146円)
財政状態 自己資本比率上昇、現金増加、利益剰余金の積み増し 自己株買い・配当支出により財務CFは大幅マイナス(▲310億円)
将来見通し AI関連テスタ需要の拡大を背景に、業績予想を上方修正(売上+800億円、純利益+425億円) 地政学リスク・為替リスク・世界経済減速など不確実性は継続

投資判断の示唆

  1. 業績トレンドの安定性・成長性
     → 四半期ベースで過去最高益を更新。AI関連需要による追い風が大きい。

  2. 財務健全性
     → 自己資本比率は64.5%、現金2,734億円と潤沢。無借金経営に近い体制。

  3. 株主還元
     → 配当は未定ながら前期は年間39円。自己株買いも継続しており還元意識は高い。

  4. 業界・マクロ影響
     → AI半導体の好調さが業績を牽引する一方、自動車向けなどは依然軟調。地政学リスクや急激な為替変動には注視が必要。


✅【参考投資判断】:買い(成長や割安感に期待)

業績・財務・需要環境ともに高水準で推移しており、AI需要拡大による中長期成長が見込める。現時点では大きな業績リスクは見当たらず、株主還元への姿勢も明確なことから、成長株としての魅力は高いと評価します。