イオン(8267)2025年2月期 第1四半期決算分析

【企業概要】

イオン株式会社(証券コード:8267)は、総合小売大手として国内外に多様な業態を展開する企業です。主力のGMS(総合スーパー)を中心に、SM(スーパーマーケット)、ヘルス&ウエルネス、ディベロッパー、金融、サービスなどを多角的に展開しています。イオングループは全国および中国・ASEAN諸国にも展開しており、直営とグループ子会社・持分法適用会社を通じた収益モデルを採用。デジタル戦略やSDGs対応を進めながら、地域密着・生活インフラ企業としてのポジションを強化しています。


【定量分析】

業績数値の比較

項目 前期実績
(2024年2月期 Q1)
今期実績
(2025年2月期 Q1)
通期予想
(2025年2月期)
売上高(百万円) 2,279,748 2,368,661 10,000,000
営業利益(百万円) 41,417 46,197 250,000
経常利益(百万円) 45,530 50,717 255,000
純利益(百万円) 3,152 5,926 80,000
EPS(円) 3.63 6.81 92.00
配当金(年間・円) 36.00 36.00(予想) 36.00

※単位:百万円・円


財務諸表の変化点(定量的な視点)

  • 現金及び現金同等物は前年同期比で約200億円増加し、資金繰りにゆとりあり。

  • 棚卸資産は微増し、在庫管理が適正に推移。

  • 有利子負債は横ばいながら、自己資本比率が上昇し、財務体質が改善。

  • 減価償却費は前年並みの水準で安定。

  • 営業CFはプラスを維持し、キャッシュ創出力も維持されている。


【定性分析】

観点 良化点 悪化点
経営成績 – GMS、SM、ウエルネス事業での売上増加
– イオンクレジットなど金融部門の利益成長
– 一部セグメントで販管費の増加(人件費・物流費)
財政状態 – 自己資本比率が前年同期より改善
– 営業CFが安定的にプラス推移
– 一部の固定資産の減損リスクが継続中
将来見通し – デジタル化・物流再編・中国等海外展開による中長期成長意欲あり
– 生活密着型業態の堅調維持
– 物価高・人件費高騰・為替の不安定性など外部リスクを注視

【投資判断の示唆】

✅ 投資妙味の評価

  1. 業績トレンドの安定性・成長性
     複数セグメントが好調で、売上・利益とも前年を上回り安定感あり。

  2. 財務健全性
     自己資本比率改善、営業CFも良好。借入も過剰でなく、健全。

  3. 株主還元
     年間36円の配当を継続予定。実質利回りは高くはないが安定配当姿勢。

  4. マクロ環境との関係性
     物価高と人件費増などは懸念材料だが、生活インフラ業態として堅調。


📌 現時点の参考投資判断:

買い(成長や割安感に期待)
生活必需品を扱う業態を中心に構成され、安定感が強く、キャッシュ創出力・財務体質も良好。長期保有に向く安定銘柄。