キーエンス(6861)2026年3月期 第1四半期決算分析

企業概要

株式会社キーエンス(証券コード:6861)は、センサー、測定器、画像処理装置などの電子応用機器を製造・販売する大手FA機器メーカーです。製造業の自動化ニーズを背景に、独自開発した高付加価値製品を提案型営業で販売するスタイルが特徴。直販中心・在庫ゼロ経営で高い収益性を維持しています。グローバルに展開しており、アジア・欧米など海外売上比率も高水準。安定した高収益体質と豊富なキャッシュポジションが魅力です。


定量分析

決算数値の比較(単位:百万円)

項目 2025年3月期
第1四半期
2026年3月期
第1四半期
2026年3月期
通期予想
売上高 247,223 261,076 未開示
営業利益 123,405 129,301 未開示
経常利益 131,444 131,532 未開示
純利益 93,534 92,116 未開示
EPS(円) 385.67 379.82 未開示
配当金(円) 350.00 175.00(予定) 350.00(予定)

※ 通期業績予想は開示されていませんが、配当予想は前年同水準を維持。


財務諸表の変化点

資産構成

  • 現金及び預金:▲899億円(5,790億円 → 4,891億円)

  • 有価証券:+351億円(6,401億円 → 6,752億円)

  • 有形固定資産:+46億円(769億円 → 815億円)

  • 無形固定資産:+298億円(63億円 → 361億円)

負債

  • 未払法人税等:▲529億円(914億円 → 385億円)

  • 負債合計:▲537億円(1,806億円 → 1,270億円)

純資産・自己資本比率

  • 純資産:+543億円(3兆1,085億円 → 3兆1,628億円)

  • 自己資本比率:94.5% → 96.1%

減価償却費

  • 前年同期比:+1.8%(36.8億円 → 38.1億円)


定性分析

観点 前期比で良くなった点 前期比で悪くなった点
経営成績 売上高+5.6%、営業利益+4.8%と堅調。海外・国内ともに堅調な受注状況。 純利益は▲1.5%、為替差益→差損への転化(前年+52億円 → 当期▲20億円)
財政状態 自己資本比率が96.1%と極めて高く、利益剰余金も順調に積み増し。 現金及び預金はやや減少し、有価証券への振替が見られる。
将来見通し 中長期の成長投資(無形資産増加)が進行中。配当も前年と同水準予想。 通期業績予想は開示されておらず、先行き不透明感は依然あり。

投資判断の示唆

  • 1. 業績トレンドの安定性・成長性

→ 世界的な製造業投資の動きを取り込み、前年を上回る売上・営業利益を記録。安定感あり。

  • 2. 財務健全性(自己資本比率、キャッシュ)

→ 自己資本比率96%、キャッシュ類似資産合計は1兆円超。無借金経営で盤石な財務体質。

  • 3. 株主還元(配当)

→ 通期配当は前年同額の年間350円を維持見込み。高配当・安定配当志向。

  • 4. 業界・マクロ動向

→ 北米・アジアの設備投資は底堅いが、欧州の不透明感や為替リスクは残る。


⚖️【参考投資判断】:保留(注視すべき要因あり)

業績・財務は非常に安定しており、長期的に見れば魅力的な投資先ですが、現時点では通期予想が未開示であり、為替リスクや欧州市場の動向など不透明要素も存在。中期投資のタイミングを見極める必要があります。