ソフトバンクグループ(9984)2025年3月期 第1四半期決算分析

【企業概要】

ソフトバンクグループ株式会社(証券コード:9984)は、日本を代表する投資持株会社であり、テクノロジー領域を中心に国内外で幅広い企業に出資しています。中核事業としては、ビジョン・ファンドを通じたスタートアップ投資、Armなどの半導体関連企業、アリババへの出資、国内通信事業子会社であるソフトバンク株式会社の運営などがあります。収益モデルは、投資評価益・配当・子会社事業収益などが複合的に構成され、グローバルなITトレンドと深く連動しています。


【定量分析】

■ 業績比較(単位:百万円、EPSは円)

項目2024年3月期 Q1実績2025年3月期 Q1実績2025年3月期 通期予想
売上高1,573,0651,735,079未開示
営業利益115,636−236,898未開示
税引前利益−228,130984,146未開示
親会社株主に帰属する純利益−477,646974,590未開示
EPS(1株利益)−281.78569.31未開示
配当金(年間)86(前期実績)86(予想)86(予想)

※2025年度通期予想は開示されていません 。


【財務諸表の変化点】

  • 資産構成

    • ArmのIPOに伴う公正価値評価益(+1.8兆円)により投資有価証券が増加

    • ソフトバンク株式会社の株式売却(▲0.4兆円)

  • 負債構成

    • 有利子負債は横ばいながら、Armの株式上場益による自己資本の増加で財務体質改善

  • 純資産の変動

    • 四半期純利益が約9,745億円と黒字転換し、利益剰余金が増加

  • キャッシュフロー

    • フリーキャッシュフローはプラス

    • 投資キャッシュフローの一部が減少し、安定性向上


【定性分析】

観点前期比で良くなった点前期比で悪くなった点
経営成績Armの再上場により大幅な評価益、連結純利益が黒字転換営業損失2368億円を計上、ビジョンファンドの評価損も継続
財政状態自己資本比率改善、資産増加によるネットアセットバリューの増加通信子会社株の一部売却による収益源の希薄化懸念
将来見通しArm再上場による評価益・成長期待、AI分野への積極投資グロース株市場の変動性、為替・金利変動の影響

【投資判断の示唆】

✅ 投資妙味評価

  1. 業績トレンドの安定性・成長性

    • 営業利益は赤字だが、Arm評価益により純利益大幅黒字。投資評価益への依存度が高く、不安定さも内在。

  2. 財務健全性

    • 自己資本比率は回復傾向。ソフトバンク株式会社の持ち株売却で調達余力を維持。

  3. 株主還元

    • 年間配当は86円を据え置き予定。配当利回りは4%超で安定感あり。

  4. マクロ・業界動向

    • ArmはAI・データセンター領域で今後の成長期待が大。だがテック株全体のバリュエーション調整には注意。


✅ 現時点での参考投資判断:⚖️ 保留

理由:
Armの再上場による評価益で一時的に業績は回復しているが、営業赤字・投資評価損益の変動依存が続いているため。将来性は大きいが、不確実性も高いため中立視点での評価が妥当。