目次
【企業概要】
富士通株式会社(証券コード:6702)は、日本を代表する総合IT企業であり、ITサービス(SI、アウトソーシング、インフラ構築)を中心に、ネットワーク製品・電子デバイス・先端テクノロジーをグローバルに展開しています。主力は法人向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援やクラウドサービスで、近年は「Fujitsu Uvance」を軸に持続可能な社会の実現を目指す取り組みを加速中。売上は国内が中心ですが、欧州をはじめとする海外比率も高まっており、収益モデルはプロジェクト型とストック型のハイブリッド構成です。
定量分析
業績数値の比較(単位:百万円・円)
項目 | 前期実績 (2024年Q1) | 今期実績 (2025年Q1) | 通期予想 (2025年3月期) |
---|---|---|---|
売上高 | 842,010 | 823,362 | 3,880,000 |
営業利益 | 42,801 | 46,719 | 315,000 |
経常利益 | 50,601 | 67,528 | 非開示 |
純利益(親会社株主に帰属) | 28,189 | 47,716 | 185,000 |
EPS(円) | 144.83 | 250.00 | 970.00 |
配当金(年間) | ― | ― | 240.00 |
財務諸表の変化点
資産構成
現金および預金:増加(Q1末時点での詳細未開示)
有形固定資産:AI・データセンター強化に向けた投資継続
ソフトウェア:クラウド・サービス向け投資増加傾向
負債の変動
有利子負債:安定推移
リース債務:グローバル拠点整備によりやや増加傾向
純資産の変化
利益剰余金の積み上げにより純資産は増加
自己資本比率は高水準を維持(約55〜60%前後)
キャッシュフロー
営業CF:黒字を維持
投資CF:デジタル領域への戦略的投資によりマイナス圧力あり
財務CF:配当と自社株買いによる支出
定性分析(良化点 vs 悪化点)
観点 | 良くなった点 | 悪くなった点 |
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経営成績 | ・営業利益+9.2%増 ・グローバルサービス拡大と業務効率化が進捗 ・海外利益率も向上 | ・売上高が前年同期比▲2.2%減(大型案件反動減) ・国内自治体向け公共事業の期ズレ |
財政状態 | ・純利益+69.2%増と好転 ・自己資本比率が安定 ・ソフトウェア資産の増加で将来収益化期待 | ・短期的に投資負担大 ・のれん償却・減損リスクが引き続き存在 |
将来見通し | ・中計通りの進捗(売上3.9兆円/営業利益率8.1%) ・DX需要・セキュリティ需要拡大に対応 | ・グローバルでの人材確保難 ・為替変動や金利上昇によるコスト影響あり |
投資判断の示唆
🔍 1. 業績トレンドの安定性・成長性
営業利益・純利益ともに大幅改善。構造改革の成果が現れ始めており、中計達成に向けて着実に進捗。
💰 2. 財務健全性
自己資本比率は安定。戦略投資が続く中でも健全性を維持しており、財務基盤は堅牢。
💸 3. 株主還元
配当240円予定(前期比+20円)。自社株買いも実施しており、還元姿勢は強い。
🌐 4. マクロ経済影響
DX需要やセキュリティ関連市場は追い風。短期的には為替や海外人材コストなどの変動に注意。
✅ 現時点の参考投資判断:買い(成長や割安感に期待)
理由: 利益成長と還元強化、構造改革の進展が明確で、中長期的な成長基盤が見える。売上の一時的減少は懸念材料だが、利益構造は改善傾向にあり投資妙味は高い。