日本たばこ産業(2914)2025年12月期 第2四半期決算分析

【企業概要】

日本たばこ産業株式会社(JT、証券コード:2914)は、たばこ事業を中心に医薬・加工食品も展開する総合メーカーです。売上の約9割を海外たばこ事業が占めており、収益性・キャッシュ創出力ともに極めて高いのが特徴です。紙巻たばこに加え、加熱式たばこの成長戦略やグローバル展開も進めています。高配当株としても人気があり、長期投資家からの注目も高い企業です。


定量分析

業績数値の比較(単位:百万円・円)

項目前期実績
(2024年12月期Q2)
今期実績
(2025年12月期Q2)
通期予想
(2025年12月期)
売上高1,464,5981,588,8883,130,000
営業利益401,959437,177855,000
経常利益401,334437,487
純利益277,903309,648595,000
EPS(円)140.88157.15302.00
配当金(年間・円)204.00

※単位:百万円・円(EPS・配当金)


財務諸表の変化点

  • 資産構成

    • 現金および現金同等物:前期末の6,728億円から6,878億円へ微増

    • 棚卸資産:在庫増加により約200億円程度増加

    • のれん・無形資産:海外M&A等の影響は限定的で安定

  • 負債

    • 有利子負債:大きな増減はなく、財務負担は低水準を維持

    • 買掛金・法人税等:事業規模拡大に伴い若干増加

  • 純資産

    • 利益剰余金の積み上げにより純資産は順調に増加

    • 自己資本比率:約51%前後で安定

  • キャッシュフロー

    • 営業CF:約4,500億円超の強力なキャッシュ創出

    • 財務CF:高水準の配当金支払いを継続


定性分析(良化点 vs 悪化点)

観点良くなった点悪くなった点
経営成績・たばこ販売数量が堅調(特に海外)
・価格改定が収益押上げに貢献
・為替の円高進行が一部影響
・一部地域で競争激化
財政状態・営業キャッシュフローの安定性が際立つ
・自己資本の積み上げ進展
・有形資産や棚卸資産の増加がやや効率性低下に懸念
将来見通し・通期業績予想を据え置きながらも高水準を維持
・加熱式たばこ・医薬分野の投資強化方針
・新興国市場の需要減退や規制強化が潜在リスク
・ガイダンスに上振れ期待は限定的

投資判断の示唆

📊 1. 業績トレンドの安定性・成長性

売上・利益ともに前年同期比で約8〜10%増。海外需要と価格改定が成長を牽引。

💹 2. 財務健全性

高い営業CFと自己資本比率を維持し、安定感は国内企業でもトップクラス。

💰 3. 株主還元

2025年通期で年間204円配の予想は、配当利回りで約5%水準と高水準を継続。

🌍 4. 業界・マクロ動向

規制強化や為替リスクは引き続き注意要素。一方で新製品開発とブランド力により優位性維持。


✅ 現時点の参考投資判断:買い(成長や割安感に期待)

理由: 安定した収益と高水準の配当を両立する希少な大型株。短期的な為替変動や規制リスクはあるものの、キャッシュ創出力と還元姿勢を重視する投資家にとって魅力的な銘柄と判断。