米国ETF分配金スケジュール早見表|主要ETFの配当月一覧

この記事でわかること

「分配金、いつ入るの?」——その疑問をスッと解決するために、主要な米国ETFの“分配月の傾向”だけをシンプルに整理しました。四半期分配(VTI/VOO/QQQ、VYM/HDV/SPYD、SCHD など)と毎月分配(JEPI/JEPQ、QYLD/XYLD/RYLD、PFF/HYG/LQD/AGG/TLT など)のカレンダー感をつかめば、家計のキャッシュフローや再投資の計画がグッと立てやすくなります。

本記事では、権利落ち日 → 支払日 → 日本の証券口座への入金日という3つの“日付の流れ”も最小限だけ解説。米国の支払日=日本での受取日ではないこと、為替によって受取額が動くことにも軽く触れます。

なお、分配月は“固定”ではなく、年度によって前後することがある点が重要です。本記事は最新傾向をつかむ「早見ガイド」として活用し、最終確認は各運用会社の公式発表をご参照ください。読み終えるころには、3・6・9・12月の“ズレ”を活かして受取タイミングを分散させるコツや、毎月分配ETFの上手な使いどころまでイメージできるはずです。

分配月の早見表(四半期型/毎月型)

“見るだけの表”でサッと確認できます。分配月はあくまで傾向で、年によって前後します。最終確認は各運用会社の公式発表でお願いします。

四半期分配(年4回)

ETF名ティッカー分配頻度権利落ちの傾向月メモ
Vanguard Total Stock MarketVTI四半期3・6・9・12月12月は前倒しになる年あり
Vanguard S&P 500VOO四半期3・6・9・12月年末前後でズレる場合あり
Invesco QQQ TrustQQQ四半期3・6・9・12月配当は小さめ、タイミング重視で
Vanguard High Dividend YieldVYM四半期3・6・9・12月12月が早まる年あり
iShares Core High DividendHDV四半期3・6・9・12月指数入替期は前後に注意
SPDR Portfolio S&P 500 High DividendSPYD四半期3・6・9・12月年末スケジュール変動あり
Schwab U.S. Dividend EquitySCHD四半期3・6・9・12月直近の権利落ち日は公式で確認
iShares Select DividendDVY四半期3・6・9・12月個別組入の配当時期の影響あり

毎月分配(年12回)

ETF名ティッカー分配頻度権利落ちの傾向月メモ
JPMorgan Equity Premium IncomeJEPI毎月毎月月末〜月初にかけての変動あり
JPMorgan Nasdaq Equity Premium IncomeJEPQ毎月毎月同上(月末/月初の前後に注意)
Global X Nasdaq 100 Covered CallQYLD毎月毎月権利落ちは月中〜月末が中心
Global X S&P 500 Covered CallXYLD毎月毎月同上
Global X Russell 2000 Covered CallRYLD毎月毎月同上
Invesco S&P 500 Low VolatilitySPLV毎月毎月リバランス月は時期が前後することあり
iShares U.S. Preferred StockPFF毎月毎月権利落ちは概ね月中
iShares iBoxx $ High Yield Corporate BondHYG毎月毎月債券系は概ね月次で安定
iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate BondLQD毎月毎月同上
iShares Core U.S. Aggregate BondAGG毎月毎月同上
iShares 20+ Year Treasury BondTLT毎月毎月同上

主要ETF別の配当月ガイド

四半期分配の代表

VTI/VOO/QQQ(基礎枠)

  • 型:3・6・9・12月の四半期分配が基本

  • 傾向:年末(12月)は前倒し・ズレが起きやすい

  • ひとこと:指数構成の配当スケジュールに連動しやすい(ただし確定ではない)

VYM/HDV/SPYD(高配当系の定番)

  • 型:3・6・9・12月

  • 傾向:決算月の集中・指数の入替タイミングで権利落ち日が前後することあり

  • ひとこと:同じ四半期型でも月内の発表・支払タイミングは毎年微妙に動く

SCHD(増配志向の人気ETF)

  • 型:3・6・9・12月

  • 傾向:年末の前倒しが起きる年あり/発表→支払→国内入金までタイムラグに注意

  • ひとこと:最新の運用会社アナウンス確認が最短ルート

DVY/SPLV など(補助枠)

  • 型:多くは3・6・9・12月(一部は例外月の前後ズレ)

  • 傾向:組入銘柄(配当支払いの多い月)が影響して季節性が出る場合あり

  • ひとこと:カレンダー設計では「四半期型×複数銘柄」でズレを作ると平準化しやすい

毎月分配の代表

JEPI/JEPQ(オプション活用系)

  • 型:毎月

  • 傾向:月末〜月初にかけての前後が起きやすい

  • ひとこと:分配金の大小は相場環境・戦略に左右されるため、“いつ入るか”の型を押さえる用途

QYLD/XYLD/RYLD(カバードコール系)

  • 型:毎月

  • 傾向:権利落ちは月中〜月末が中心になりやすい

  • ひとこと:連続受取を重視する“受取カレンダー”の歯車役

PFF(優先株)/HYG・LQD(社債)/AGG・TLT(総合債券・長期国債)

  • 型:毎月

  • 傾向:債券・優先株系は月次で比較的安定する一方、国内入金は数営業日〜数週間のズレに留意

  • ひとこと:株式の四半期型と組み合わせると月次キャッシュフローが滑らかになりやすい

メモ(共通)

  • 分配「月」は傾向であって固定ではありません。年度・運用上の事情で前後します。

  • 権利落ち日 → 支払日 →(日本の)入金日は別物。国内受取は証券会社の入出金明細で実績確認を。

  • 受取月を整えるなら、四半期型(3/6/9/12)×複数の“型”を組み合わせ、必要に応じて毎月分配を補助輪に。

実務で迷わない:権利落ち日→支払日→入金日

“分配が決まってから日本の口座に入るまで”の道筋だけを、サクッと押さえます。

3つの日付の違いと並び順

  • 権利落ち日(Ex-Date)
    この日以降に買っても、今回の分配は受け取れません。逆に言えば、分配を受け取りたいなら権利落ち日の前営業日までに保有している必要があります。

  • レコード日(Record Date)
    「この時点で保有している人」を発行体が確定する基準日。実務上は投資家が気にするのは“前段の権利落ち日”です。

  • 支払日(Payable Date)
    発行体が分配金の支払い処理を行う日。ここで米ドルの支払いが走り、日本の証券口座への入金はさらに数日後になりがちです。

並び順:権利落ち日 → レコード日 → 支払日 →(日本の)入金日

ミニ例(あくまでイメージ)

イベント目安投資家がやること
権利落ち日6/17前営業日までに保有しておく
レコード日6/18発行体が保有者を確定(基本ノーアクション)
支払日6/24米国で支払い処理
日本の入金日6/26〜7/1証券口座に着金を確認(為替反映後)

※日付はETFごと・年ごとに前後します。実際のスケジュールは運用会社と証券会社の画面で最終確認を。

日本の証券口座に入金されるまでのタイムラグ

  • 「米国の支払日」=「日本の入金日」ではないのが普通です。
    為替振替・国内処理の都合で数営業日〜1週間程度ずれることがあります(連休・月末はさらに前後)。

  • 入金の通貨と為替
    多くの国内証券では、米ドルで受け取り→円転(または外貨のまま受領)という流れ。受取額は為替で変動します。

  • 確認すると安心な画面
    証券会社の「配当・分配金明細」「入出金履歴」を実績ベースでチェック。予定メールだけで判断しない。

  • よくある勘違い

    • 権利落ち日“当日の購入”は今回分に間に合いません
      -「権利確定日」表示を見て慌てがちですが、投資家側の実務は権利落ち日を見るのが最短ルートです。

為替と税金の超ミニガイド(要点だけ)

為替レートで受取額が動く

  • 分配金は米ドルで発生→日本では外貨のまま受取または円転。円転時はその時点のレートと手数料で受取円貨が決まります。

  • 入金日がズレる=適用レートもズレるので、受取額は毎回微妙に変わります(外貨受取→後でまとめて円転、という運用も一案)。

税金の基本キーワード(ざっくり)

  • 米国源泉税:日米租税条約&W-8BEN提出が前提で、配当は原則10%(大口の一部は5%)。未提出だと米国の国内法30%が原則です。

  • 日本の課税(一般口座/特定口座):配当は20.315%(15%国税+0.315%復興特別所得税+5%住民税)が基本。年により制度変更の可能性はあるため最新情報を確認してください。

  • 外国税額控除:確定申告で、海外で源泉された税金(例:米国10%)を日本の税額から控除できる仕組み。上限計算あり。

NISA口座のポイント

  • 国内課税は非課税だが、米国源泉10%はかかる

  • 国内で非課税扱いの配当は確定申告できない=外国税額控除は使えない(10%は戻らない)。証券会社のFAQでも明記。

実務ミニTIPS

  • 受取通貨の選択:ドル受取→必要時に円転だと、レートを自分で選べます(外貨買付の再投資もしやすい)。

  • 明細の確認:証券会社の「配当・分配金明細/入出金履歴」で権利落ち→支払→国内入金源泉内訳(米国/日本)を実績で確認。

  • 申告の検討:特定口座(源泉あり)でも、外国税額控除のために確定申告を選ぶ価値があるケースあり(損益・所得状況で異なる)。

分配月を“設計”する:毎月受け取りに近づけるコツ

「いつ入るか」をコントロールするための設計だけ、要点に絞ってまとめます。

四半期型×銘柄分散で“月ズレ”を作る

  • 前提:多くの株式ETFは3/6/9/12月に四半期分配が集中しがち。ただし、権利落ち→支払→日本入金のタイムラグで翌月入りになるケースもあります。

  • 狙い方

    1. 四半期型を2〜3本に分散(例:市場全体+高配当+増配志向の組み合わせ)。同月でも入金のズレが生まれやすい。

    2. 債券や優先株の四半期型/毎月型を少量加えると、株式の集中月以外の受取を補いやすい。

    3. “受け取り口座は外貨のまま”にしておくと、入金月を問わず再投資がしやすい(円転タイミングは別管理)。

ミニ例(考え方の一例・推奨構成ではありません)

  • コア(四半期型・合計70%):市場全体 or S&P系(30%)+高配当(25%)+増配志向(15%)

  • サテライト(毎月 or 債券系・合計30%):毎月分配(15%)+優先株/社債系(15%)
    → 3/6/9/12の山をコアで受けつつ、その他の月はサテライトで平準化

ポイント

  • “四半期×複数本”でも完全な毎月化は難しいラグ(翌月入金)とサテライトを活用して“だいたい毎月”に寄せるのが現実的。

  • 銘柄は役割が被りすぎないように(例:高配当を3本並べるより、役割の違う型で分散)。

毎月分配ETFの役割

  • 役割は“平準化”:毎月分配はキャッシュフローの穴埋めとして少量入れると設計が楽。

  • 注意点(超要約)

    • 毎月分配の多くはオプション活用や債券性が背景。基礎資産の性格が株式インデックスと異なることに留意。

    • 分配“金額”は変動します。あくまで“毎月入る型”を確保する目的で。

    • 入れすぎない:コア(市場全体・増配志向・高配当)を主役に、毎月分配はサブでバランスを取る。

受け取りカレンダーの作り方(手順化)

  1. コア比率を決める(例:70〜80%)。自分の資産形成の軸を担う四半期型を選定。

  2. サテライトで穴を埋める(例:20〜30%)。毎月分配や優先株/社債を少量。

  3. 証券会社の配当・分配金カレンダー(実績)を見ながら、月別の受取見込みをメモ。

  4. 年間で1回見直し:受け取りが偏る月がないか、サテライト比率の微調整で整える。

ヒント:完全な“毎月同額”は目指さず、「偏りが小さい」を合格ラインに。再投資や生活費との兼ね合いで、**キャッシュクッション(数か月分)**を持つと運用が安定します。

まとめ:スケジュール活用で“受け取り設計”をシンプルに

  • 分配月は“傾向”で固定ではない。 四半期型は3/6/9/12が多いが、年末前倒しなどで前後あり。

  • 権利落ち日・支払日・日本での入金日は別物。 国内入金は数営業日〜1週間ずれやすい。

  • 設計のコツは「コア×サテライト」。 コア=四半期型(市場全体・高配当・増配志向)/サテライト=毎月分配や優先株・社債で“受取の穴”を埋める。

  • 為替と税を意識。 円転タイミングで受取額が変わる。NISAは国内非課税でも米国源泉(一般に10%)はかかる。

  • 最終確認は一次情報で。 運用会社の配当告知・証券会社の明細がいちばん早く正確。