高砂熱学工業(1969)2026年3月期 第1四半期決算分析

企業概要

高砂熱学工業株式会社(1969)は、空調設備工事を中心とする設備工事事業を主力とし、産業設備・一般設備の設計、施工、保守まで一貫して手掛ける国内大手の総合設備企業です。加えて、空調機器などの製造・販売事業も展開。収益は受注ベースの工事売上が大半を占め、国内中心ながら海外案件も一定比率を維持しています。近年は省エネ・環境対応工事の需要増を背景に、受注・売上ともに堅調に推移。中期経営計画では収益基盤強化と人的投資による成長を重視しています。


定量分析

業績比較(単位:百万円、EPS・配当は円)

項目前年同期
2025年3月期 Q1
今期実績
2026年3月期 Q1
会社予想
2026年3月期 通期
売上高70,41594,205410,000
営業利益1,89710,11736,000
経常利益2,91010,90638,000
純利益2,0278,95628,700
EPS30.55135.96217.83
配当金(年間)167.0086.00※

※株式分割考慮後。分割前ベースでは174.00円。


財務諸表の変化点

  • 資産構成:現金預金が約104億円減少(47,647→37,291百万円)、受取手形・工事未収入金減少(約352億円→約301億円)

  • 負債:支払手形・工事未払金等が約90億円減少、短期借入金も大幅減(17,737→4,434百万円)

  • 純資産:自己株式取得により約31億円減少

  • 減価償却費:前年735百万円→今期807百万円に増加


定性分析

観点前期比で良くなった点前期比で悪くなった点
経営成績大型産業設備案件の進捗集中により売上33.8%増、営業利益4倍超。設備機器販売事業も黒字化。原材料・労務費の高止まりによるコスト圧力継続。
財政状態自己資本比率が53.9%→59.0%へ改善。短期借入金大幅減少で流動性リスク低下。自己株式取得で純資産は微減。
将来見通し中期計画に沿った成長投資継続、省エネ・環境分野での需要拡大期待。受注高も4.2%増。海外比率減少(19.4%→17.1%)、資機材価格の高止まりや人件費上昇が利益圧迫リスク。

投資判断の示唆

  1. 業績トレンド:大型案件進捗による急伸。受注残も高水準で今期業績見通しは堅調。

  2. 財務健全性:自己資本比率59%と高く、借入依存度低下。

  3. 株主還元:年間配当予想86円(分割後換算)で高水準を維持。

  4. 業界・マクロ要因:建設投資は堅調だが、資材高・人件費上昇が続く見込み。

現時点での参考投資判断:✅ 買い
→ 高収益案件の進捗と財務基盤の強化が評価ポイント。資材高リスクはあるものの、配当利回りと安定受注が投資妙味を高める。