はじめに
株式取引は、多くの投資家にとって魅力的な反面、市場の変動やリスクも同時に伴います。 その中でも先物取引は株式市場における重要な取引形態の1つです。 なんとなく、先物という名前は聞いていたけれど実際に取引したことはない、取引するために先物取引を知り、活用し、投資に活かそうという方に向けた記事になります。
先物とは何か
まず先物取引とは、
将来の特定の日付に、特定の資産(商品、株式、通貨など)を、特定の価格で売買する取引形態
のことです。
じゃあその特定の資産は何なのかというと、具体的には、
農産物や金属、石油などの商品、株式指数、外国為替など
が先物になります。 WTI原油先物や日経225先物などが有名ですね。
先物契約の特徴
- 標準化された契約
先物契約は標準化されており、取引条件(契約のサイズ、有効期間、決済日、決済価格など)が予め定められています。
- 決済日と決済価格
先物契約には決済日があり、その日に契約条件に基づいて物理的または現金決済が行われます。
また、決済価格は取引開始時に決まっており、決済時にこの価格が適用されます。
- レバレッジ
先物取引では、少額の証拠金(保証金)を預けることで、レバレッジの効いた取引を行うことができます。
これにより、元本の比率に対するリターンや損失が大きくなるため、リスクも高まります。
先物取引の仕組みは、売り手(空売り)と買い手(買い持ち)が互いに契約を結び、
将来の特定の日付に特定の資産を特定の価格で取引することで成立します。
この取引は、取引所で行われ、契約内容や取引条件は取引所が定めるルールに従います。
先物取引のメリットとタスク
先物の特性を踏まえると、投資家にとってのメリットやリスクが見えてきます。 イメージが湧きやすいように農家の例を交えながら説明します。
メリット:
- 価格のヘッジ(リスク回避)
先物取引を利用することで、将来の価格変動からリスクをヘッジ(回避)することができます。
例えば、ある農家が小麦を収穫することを考えているとします。小麦の価格が毎年変動するため、農家は収穫前に小麦の先物契約を取引所で購入することで、将来の価格の変動から保護することができます。
- レバレッジを活用したリターンの増大
先物取引を利用することで、将来の価格変動からリスクをヘッジ(回避)することができます。
例えば、ある農家が小麦を収穫することを考えているとします。小麦の価格が毎年変動するため、農家は収穫前に小麦の先物契約を取引所で購入することで、将来の価格の変動から保護することができます。
リスク:
- 価格の変動リスク
先物取引では、将来の価格変動から利益を得ることもあれば、損失を被る可能性もあります。
例えば、農家が小麦の価格が上昇することを期待して小麦の先物契約を購入した場合、もし小麦の価格が予想とは逆に下落した場合、損失が生じます。
- レバレッジによる損失拡大リスク
先物取引では、レバレッジを活用することで元本の比率に対するリターンや損失が大きくなります。
そのため、小さな価格変動でも大きな損失を被る可能性があります。
レバレッジでプラスになる可能性もあればマイナスに働く可能性もあるということです。
先物取引の仕組み
先物取引は特徴に記載の通り、将来の特定の日付に特定の価格で資産を買うか売ることを約束する契約です。 では、具体的にどのように取引が行われるのか、以下で解説します。
先物契約の内容と流れ
先物取引は取引所で行われます。
投資家は、将来の特定の日付(約定日)に、一定の価格(契約価格)で資産を買うか売ることを約束する契約を結びます。
この契約を「先物契約」と呼びます。
一般的な先物取引の流れは以下の通りです。
- 注文の入力
投資家は取引を行いたい先物契約の詳細(銘柄、数量、約定日など)を指定して注文を入力します。
- マッチング
取引所では、売り手と買い手の注文をマッチングさせます。つまり、売り手と買い手が合意した場合に取引が成立します。
- 約定
売り手と買い手が合意した場合、取引が約定し、双方の口座から資金の移動が行われます。
- 納品または清算
約定した先物契約が約定日になると、実際の商品の納品が行われるか、現金での清算が行われます。
先物取引の価格決定要因と影響要因
先物取引の価格は供給と需要に基づいて決定されます。主な要因には以下があります。
- 現物市場の価格
先物価格は現物市場の価格を基に決定されます。
例えば、小麦先物の価格は小麦の現物市場の価格に影響されます。
- 金利
先物契約は将来の取引を約束するため、金利の水準が先物価格に影響を与えます。
- 需給の増加
特定の商品の需給の変化は、先物取引の価格に影響を与えます。
例えば、天候や季節などの要因により、農産物の需要や供給が変化すると、それに応じて小麦や大豆の先物価格も変動します。
先物取引と現物取引の違
先物取引と現物株式取引にはいくつかの違いがあります。以下ではその違いについて解説します。
- 取引対象
先物取引は将来の特定の日付に特定の価格で資産を買うか売ることを約束する契約ですが、現物株式取引は実際の株式を取引します。
- リスク
先物取引は将来の価格変動からリスクをヘッジ(回避)するための手段ですが、現物株式取引は株価変動によるリスクを直接負います。
- 支払い
先物取引では約定日に清算が行われますが、現物株式取引では即座に取引価格を支払います。
- 価格の動き
先物取引の価格は契約条件に基づいて取引が行われるため、現物市場の価格と異なる場合があります。一方、現物株式取引では、その時点の市場価格で取引が行われます。
- 取引方法
先物取引では取引所で行われ、取引が標準化されています。一方で、現物株式取得や証券会社や取引所を通じて行われる場合がありますが、直接取引することもあります。
これらの違いを理解することで、自身の投資目標やリスク許容度に応じて、先物取引や現物株式取引のどちらを選択するかを考えることができます。