Amazon(アマゾン)|2025年Q2決算分析

【企業概要】

Amazon.com, Inc.(NASDAQ: AMZN)は、EC(電子商取引)を中核としつつ、クラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」や広告、物流、AIサービスなど幅広い分野に事業を展開するテクノロジー企業です。収益モデルは物販による売上だけでなく、AWSによる高収益のサブスクリプション型サービスが大きな柱。世界中に展開するグローバル企業であり、近年は生成AIやロジスティクスの自動化への投資も活発化。成長・収益性のバランスに優れたS&P500構成銘柄の一つです。


【定量分析】

●業績数値比較(単位:百万ドル)

項目 2024年Q2 2025年Q2 2025年Q3ガイダンス
売上高 134,383 153,136 $159,000〜$164,000
営業利益 7,680 15,252 $11,000〜$15,000
純利益 6,750 10,624 非開示
EPS(希薄化後) 0.65 1.00 非開示
配当金(年間)

●財務諸表の変化点

  • 資産構成

    • 現金・短期投資:67.2Bドル → 77.2Bドルへ増加

    • 固定資産:ロジスティクス・データセンター投資継続

  • 負債

    • 長期負債:50.1Bドル → 47.1Bドルに微減

    • リース債務・その他負債も概ね安定

  • 純資産

    • 利益剰余金の増加により純資産増加

    • 自己資本比率の改善傾向あり

  • キャッシュフロー

    • 営業CF:前年同期の27.0Bドル → 今期36.0Bドル(+33%)

    • フリーCF:前年同期はマイナス → 今期+17.9Bドルに大幅改善


【定性分析】

観点 前期比で良くなった点 前期比で悪くなった点
経営成績 AWS売上 +18%、広告収益+24%、営業利益2倍超 為替影響による売上マイナス影響(▲0.4%)
財政状態 営業・フリーCFが大幅改善、キャッシュ増加 特筆すべき悪化はなし
将来見通し Q3売上見通し+11〜15%、AI関連事業への強気姿勢 インフレや金利上昇による消費動向の不透明感

【投資判断の示唆】

1. 業績トレンドの安定性・成長性

AWS・広告の高成長が続き、全体でも+14%の増収。営業利益は前年の2倍超と、効率性の高い成長を実現。

2. 財務健全性

キャッシュフローの大幅改善、現金準備の増加、負債の減少と、財務基盤は極めて良好。

3. 株主還元

現状、配当金・自社株買いとも実施していないが、再投資優先の姿勢は成長企業として妥当。

4. 業界・マクロ影響

AI競争や広告事業の好調が追い風。リスク要因としては消費低迷・為替変動などがあるが、総じてプラス要素が上回る。


✅ 現時点での参考投資判断:買い(成長や割安感に期待)

AWS・広告という高利益部門の成長、フリーCFの黒字化、AI・ロジスティクス分野での戦略的布石を踏まえると、現時点では長期投資に妙味ありと判断できます。


📝 補足ポイント

  • セグメント別

    • AWS売上:$25.0B(YoY +18%)

    • 広告:$12.1B(YoY +24%)

    • 北米小売:+11%、海外小売:+10%

  • EPS成長率:YoY +54%($0.65 → $1.00)

  • フリーCF転換は3年ぶりのプラス領域