【AMZN】Amazon Q4 2025 決算
徹底分析レポート
2026年2月5日発表|売上$2,134億で過去最高。AWS+24%加速。しかし2026年CapEx $2,000億計画で株価急落。
定量分析
業績数値の比較
Amazonは12月決算です。Q4 2025(2025年10月~12月)と前年同期、通期実績、Q1 2026ガイダンスを比較します。
| 項目 | Q4 2024 (前年同期) | Q4 2025 (今期実績) | 前年同期比 | FY2025通期 | FY2024通期 | 通期YoY |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高($B) | 187.8 | 213.4 | +14% | 716.9 | 638.0 | +12% |
| 営業利益($B) | 21.2 | 25.0 | +18% | 80.0 | 68.6 | +17% |
| 営業利益率 | 11.3% | 11.7% | +0.4pt | 11.2% | 10.7% | +0.5pt |
| 純利益($B) | 20.0 | 21.2 | +6% | 77.7 | 59.2 | +31% |
| EPS($) | 1.86 | 1.95 | +5% | 7.17 | 5.53 | +30% |
| 営業CF(TTM, $B) | 115.9 | 139.5 | +20% | ― | ||
| FCF(TTM, $B) | 38.2 | 11.2 | △71% | AI投資によるCapEx急増が主因 | ||
| CapEx(通期, $B) | ― | ― | ~131 | ~83 | +59% | |
Q1 2026ガイダンス:売上$1,735~1,785億(コンセンサス$1,756億の範囲内)。営業利益$165~215億(コンセンサス$222億の中間値を下回る)。Amazon Leo(衛星)コストの年$10億増、クイックコマース投資、国際事業の価格戦略強化が圧迫要因。
※Q4 2025の営業利益にはイタリア税務紛争の解決$11億、人員整理$7.3億、物理店舗の減損$6.1億の一時費用(計約$24.4億)が含まれる。これを除けば営業利益は約$274億相当。
財務諸表の変化点
【バランスシート】
- 現金・現金同等物+有価証券:約$1,230億を保有。投資余力は十分。
- 建設仮勘定:$466億→$717億に急増(+54%)。データセンター建設ラッシュを反映。
- 減価償却費:通期$419億(+30.5% YoY)。2025年にサーバー等の耐用年数を6年→5年に戻した影響も含む。
- 有利子負債:概ね安定。財務レバレッジは低水準を維持。
【キャッシュ・フロー】
- 営業CF:$1,395億(+20% YoY)。営業利益の改善と運転資本の効率化が寄与。OCFマージン19.5%。
- CapEx:通期$1,283億(前年$775億から+$507億)。AI投資が急増の主因。
- FCF:$112億(前年$382億から△71%)。CapEx急増により大幅減少。
- 2026年CapEx見通し:約$2,000億。アナリスト予想$1,466億を37%上回る。AWS・AIインフラ・自社チップ・Kuiperが中心。
ポイントは「OCFは好調だがCapExが急拡大しFCFが圧縮されている」という構図です。これは成長投資フェーズの特徴ですが、投資回収のスピードが問われます。
定性分析
| 観点 | ✅ 良くなった点 | ⚠️ 悪くなった点・リスク |
|---|---|---|
| 経営成績 | ・AWS成長率が24% YoYに加速。過去13四半期で最速。ARR $1,420億に到達。 ・広告事業が+23% YoYの$213億。Prime Video広告が16カ国・3.15億人にリーチ。 ・北米営業利益率が8%→9%に改善。物流効率化が奏功。 ・通期EPS $7.17(+30%)。純利益$777億(+31%)。 ・サードパーティ販売比率61%。マーケットプレイスの安定成長。 ・Rufus(AIショッピングアシスタント)を3億人超が利用。購買完了率が60%向上。 | ・Q4 EPS $1.95は市場予想$1.97をわずかにミス。 ・Q4に一時費用$24.4億(イタリア税務、人員整理、店舗減損)。 ・国際事業の営業利益がQ4で$10.4億に下落(前年$13億から△21%)。価格戦略投資が重荷。 ・Gaming・ストリーミング分野での収益化が依然として課題。 |
| 財政状態 | ・OCF $1,395億(+20%)。キャッシュ創出力は過去最高。 ・現金等$1,230億で潤沢な投資余力。 ・P/OCF 15.3倍は過去10年の最低水準。歴史的中央値25倍と比べ割安。 ・自社チップ事業(Graviton+Trainium)がARR $100億超、3桁%成長。 | ・FCFが$382億→$112億へ△71%急減。CapEx急拡大が主因。 ・減価償却費が通期$419億(+30.5%)。今後さらに増加見込みで利益率を圧迫。 ・2026年CapEx $2,000億計画は市場の想定を大幅に超過。投資回収期間の長期化懸念。 ・建設仮勘定$717億が示す「まだ稼働していない資産」の規模。 |
| 将来見通し | ・AWS Bedrockが数十億ドルARR。エージェンティックAIの需要拡大。 ・Trainium3がTrainium2比40%の価格性能改善。2026年半ばまでにほぼ全量がコミット済み。 ・Gravitonを上位1,000顧客の90%が採用。x86比40%の価格性能優位。 ・クイックコマース(Amazon Now)をインド・メキシコ・UAEに拡大。 ・Same-Day Delivery利用者が前年の約1.7倍。物流ネットワークの差別化が継続。 ・OpenAIへの最大$500億投資の可能性(報道ベース)。AI戦略の更なる深化。 | ・Q1営業利益ガイダンスの中間値$190億はコンセンサス$222億を下回る。 ・Amazon Leo(衛星)が年$10億のコスト増要因。2026年に20回以上の打ち上げ予定。 ・Microsoft Azure(+39%)とGoogle Cloud(+48%)がAWSよりも速いペースで成長。シェア攻防が激化。 ・CapEx $2,000億のうちAI以外(衛星・国際物流)の回収時期が不透明。 ・関税リスク:米中貿易摩擦がEコマース事業に影響する可能性。 |
セグメント別業績
| セグメント | Q4 2025 売上($B) | 構成比 | YoY | 営業利益 ($B) | 営業利益率 | 通期FY25 売上($B) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| North America | 127.1 | 60% | +10% | 11.5 | 9.0% | 426.3 |
| International | 50.7 | 24% | +17% | 1.0 | 2.1% | 161.9 |
| AWS | 35.6 | 17% | +24% | 12.5 | 35.1% | 128.7 |
| 合計 | 213.4 | 100% | +14% | 25.0 | 11.7% | 716.9 |
※広告事業はセグメント横断的に計上。Q4広告売上は$213億(+23% YoY)。通期$756億(+22%)。
AWSは売上構成17%ながら営業利益の50%を稼ぎ出すAmazonの収益エンジンです。13四半期ぶりの成長加速はAIワークロードの拡大が背景にあります。北米リテールの営業利益率9%は過去の低利益率イメージを大きく覆す水準に改善しています。一方、国際事業は投資先行フェーズが続き、利益率は2%台にとどまっています。
投資判断の示唆
業績トレンドの安定性・成長性
通期売上$7,169億(+12%)、通期EPS $7.17(+30%)と、$7,000億規模の企業としては堅実な成長を維持しています。AWS(+24%)と広告(+23%)が二大成長エンジンとして機能しており、特にAWSの成長再加速は大きなポジティブシグナルです。Trainium/GravitonといったカスタムシリコンのARR $100億超も、中長期の利益率改善に寄与する見込みです。
財務健全性
OCF $1,395億は過去最高で、キャッシュ創出力に問題はありません。ただし、CapEx $1,283億(2025年)→$2,000億(2026年計画)という急拡大により、FCFは$112億まで圧縮されています。財務的には現金$1,230億と低レバレッジで耐えられますが、投資回収の可視性が問われるフェーズに入っています。
株主還元
Amazonは成長投資優先の方針を堅持しており、配当は未実施です。自社株買いも限定的で、FCFのほぼ全額をCapExに投じています。株主還元は「企業価値の成長」そのもので行うモデルです。短期的な還元を求める投資家には向きませんが、長期保有者にとっては複利的な成長が期待できます。
業界動向・マクロ影響
クラウドインフラ市場は引き続き拡大基調で、AIワークロードの需要は加速しています。ただしAzure(+39%)やGoogle Cloud(+48%)がAWSを上回る成長率を記録しており、競争環境は激化中です。Eコマースではウォルマートの追い上げ、関税リスク(特に中国関連商品)、消費者支出の不確実性が存在します。Amazon Leo(低軌道衛星)は長期的な通信インフラ戦略ですが、短中期的にはコスト要因です。
📊 参考投資判断
Amazonは「収益の質」が大きく変化しています。AWSの成長再加速(+24%)、広告事業の$756億規模への拡大、北米リテールの利益率9%への改善は、かつての「低利益率の巨人」とは異なるプロファイルです。P/OCF 15.3倍は過去10年で最も割安な水準にあり、成長率に対するバリュエーションは魅力的です。
最大の論点は$2,000億のCapEx計画です。市場はこの数字にネガティブに反応しましたが、これはAI時代のインフラ投資において「勝つためのコスト」であり、AWSの競争力維持に不可欠な投資です。カスタムシリコン(Graviton/Trainium)が3桁%成長している事実は、この投資が単なるハードウェア購入ではなく、差別化された自社プラットフォームの構築であることを示しています。
留意点:Q1ガイダンスの営業利益が市場予想を下回った点、FCFの急減(△71%)、Azure/GCPとのシェア攻防、衛星事業のコスト増など、短期的にはボラティリティが高い局面が想定されます。時間軸1年以上の投資家にとっては、押し目は長期的な買い場となる可能性があります。
補足データ
| 指標 | 数値 | コメント |
|---|---|---|
| EPS成長率(通期YoY) | +30% | $5.53→$7.17 |
| P/OCF(TTM) | 15.3倍 | 過去10年最低水準。歴史的中央値25倍 |
| OCFマージン | 19.5% | 2021-22年の低迷期から大幅回復 |
| AWS営業利益率 | 35.1% | 営業利益の50%をAWSが創出 |
| 広告売上(通期) | $756億 | +22% YoY。第3の利益柱として確立 |
| カスタムチップARR | $100億超 | Graviton+Trainium。3桁%成長 |
| 2026年CapEx計画 | $2,000億 | コンセンサス$1,466億を37%超過 |
| 配当 | なし | 成長投資優先の方針を継続 |