目次
【企業概要】
日本電信電話株式会社(NTT、証券コード:9432)は、日本最大級の通信グループ企業で、NTTドコモ、NTTデータ、NTT東西などを傘下に持つ持株会社です。通信インフラを軸に、クラウド、データセンター、AIなどの成長分野にも注力しています。収益モデルは主に通信サービスの月額課金・法人向けICTソリューションによるもので、安定的なキャッシュ創出力が特徴です。グローバル展開も進んでおり、NTT Ltd.を通じて海外売上の比率も高まっています。
【定量分析】
業績比較表(単位:百万円、EPSは円)
【財務諸表の変化点】
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資産構成
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現金及び預金が微増
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有形固定資産は大きな変化なし
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投資有価証券が減少
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負債の変化
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有利子負債はやや増加
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短期借入金が微減
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社債残高は安定的
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純資産と自己資本比率
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自己資本比率:約33.7%(前年同期比で微減)
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利益剰余金の積み増しは継続中
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キャッシュフロー
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営業CFは安定的にプラスを確保
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投資CFは設備投資中心にマイナス
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財務CFは自社株買いと配当でマイナス計上
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【定性分析】
観点 | 前期比で良くなった点 | 前期比で悪くなった点 |
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経営成績 | ・売上高は+5.5%増加 ・海外事業や法人ICT需要が好調 |
・営業・経常・純利益は前年同期比で減少 |
財政状態 | ・営業CFは堅調 ・利益剰余金は積み上がり中 |
・自己資本比率が若干低下 ・有価証券評価損の影響あり |
将来見通し | ・生成AI、データセンター投資継続 ・中期経営計画進捗報告あり |
・通信市場の成熟、価格競争 ・国内個人通信の伸び悩み |
【投資判断の示唆】
1. 業績トレンドの安定性・成長性
売上高は増加傾向にあるものの、利益面ではやや停滞感あり。中期的には生成AIやグローバルICT需要が支えになる可能性。
2. 財務健全性
自己資本比率33.7%、営業キャッシュフローの安定など、盤石な財務体質を維持。
3. 株主還元
前期配当は120円と高水準。今期は未定だが、自社株買いも継続しており還元姿勢は強い。
4. 業界・マクロ環境
国内通信市場は成熟。今後はデジタル田園都市構想や法人需要、AI/クラウド領域の展開が鍵。
✅ 現時点での参考投資判断:⚖️ 保留(注視すべき要因あり)
理由:売上成長は評価できるものの、利益成長の鈍化や国内市場の伸び悩みは気がかり。中長期的なAI/海外戦略に期待する投資家向き。