NTT(9432)|2025年3月期 第1四半期決算分析

【企業概要】

日本電信電話株式会社(NTT、証券コード:9432)は、日本最大級の通信グループ企業で、NTTドコモ、NTTデータ、NTT東西などを傘下に持つ持株会社です。通信インフラを軸に、クラウド、データセンター、AIなどの成長分野にも注力しています。収益モデルは主に通信サービスの月額課金・法人向けICTソリューションによるもので、安定的なキャッシュ創出力が特徴です。グローバル展開も進んでおり、NTT Ltd.を通じて海外売上の比率も高まっています。


【定量分析】

業績比較表(単位:百万円、EPSは円)

項目 前期実績
(2024年Q1)
今期実績
(2025年Q1)
通期予想
(2025年3月期)
売上高 3,154,106 3,326,798 13,500,000
営業利益 417,510 403,870 1,810,000
経常利益 437,359 414,717 1,840,000
純利益 296,803 274,598 1,160,000
EPS(1株利益) 104.57 99.81 ※未開示
配当金(年間) ※前期は120円 ※未定 ※未定

【財務諸表の変化点】

  • 資産構成

    • 現金及び預金が微増

    • 有形固定資産は大きな変化なし

    • 投資有価証券が減少

  • 負債の変化

    • 有利子負債はやや増加

    • 短期借入金が微減

    • 社債残高は安定的

  • 純資産と自己資本比率

    • 自己資本比率:約33.7%(前年同期比で微減)

    • 利益剰余金の積み増しは継続中

  • キャッシュフロー

    • 営業CFは安定的にプラスを確保

    • 投資CFは設備投資中心にマイナス

    • 財務CFは自社株買いと配当でマイナス計上


【定性分析】

観点 前期比で良くなった点 前期比で悪くなった点
経営成績 ・売上高は+5.5%増加
・海外事業や法人ICT需要が好調
・営業・経常・純利益は前年同期比で減少
財政状態 ・営業CFは堅調
・利益剰余金は積み上がり中
・自己資本比率が若干低下
・有価証券評価損の影響あり
将来見通し ・生成AI、データセンター投資継続
・中期経営計画進捗報告あり
・通信市場の成熟、価格競争
・国内個人通信の伸び悩み

【投資判断の示唆】

1. 業績トレンドの安定性・成長性

売上高は増加傾向にあるものの、利益面ではやや停滞感あり。中期的には生成AIやグローバルICT需要が支えになる可能性。

2. 財務健全性

自己資本比率33.7%、営業キャッシュフローの安定など、盤石な財務体質を維持。

3. 株主還元

前期配当は120円と高水準。今期は未定だが、自社株買いも継続しており還元姿勢は強い。

4. 業界・マクロ環境

国内通信市場は成熟。今後はデジタル田園都市構想や法人需要、AI/クラウド領域の展開が鍵。


✅ 現時点での参考投資判断:⚖️ 保留(注視すべき要因あり)

理由:売上成長は評価できるものの、利益成長の鈍化や国内市場の伸び悩みは気がかり。中長期的なAI/海外戦略に期待する投資家向き。