SE(システムエンジニア)から転職しやすい業界

システムエンジニアとしてキャリア形成をしていくと必ず転職を考えることがあります。

SIer勤務なら設計開発や運用保守を経験しながら、
「自分のスキルは何なのだろうか」
「マネジメントだけで生き残れるのだろうか」
「もっと先端技術に触れていたい」
など考えてしまうものです。

最上流工程を推進できる立場であっても、
「本当に自分の作るシステムは人のためになるのだろうか」
といったことを考えてしまいます。

そのような悩みを抱えるSE(システムエンジニア)に対して、「転職しなさい」とは言わないまでも、
転職活動をしてみることをとてもお勧めしています。

本記事では、
SIer8年目の私が転職活動を実際にやってみて感じた
転職活動のメリットとノウハウ、SEからの転職先候補を纏めました。

私の転職活動

2022年にかく言う私も転職活動を行い、内定をいただきました。

志望企業数や選考状況は以下です。
・応募企業数:10
・書類通過:8(10社中)
・1次面接通過:7(8社中)
・2次面接通過:5社(7社中)
・内定:1社
・選考途中辞退:4社

志望した10社のうち、
1社から内定をいただきました。
書類や面接でお見送りとなった企業は3社で、
辞退させていただいた企業は4社です。
※最終的には内定企業も辞退いたしました。

転職を開始した動機はネガティブな理由で、
育児休職に対する職場の理解が薄く、
自分のモチベーションが高く保てないと感じたからです。

一方で、実際の転職動機や志望動機には
現職でモチベーションが上がらなくなったなど書けないので、
本当に自分がしたいことは何か、転職で何を実現したいか
といったことを真剣に考えました。

転職活動を通じて得たものを纏めて発信します。

転職活動のメリット

転職はしなくても、転職活動はやった方が良いと言う方が時々います。
その考えに対しては、「大いにYES」です。
結論から述べると、以下のようなメリットがあります。

  • 自分の市場価値が客観的にわかる
  • 自分が何のスキルが足りていないかわかる
  • 現職の良いところを比較して知ることができる
  • (転職する場合)年収アップが期待できる
  • (転職する場合)環境の変化が期待できる

デメリットはゼロだと思っています。

職務経歴書を書くことによって得られるメリット

職務経歴書とは自分の最終学歴と、入社後の実績を記載する書類です。
普段はなかなかすることのない、実務の棚卸しができます。
ここでは、スキルの棚卸ではなく、
どういう業界で、
どのようなプロジェクト
どのような役割
推進してきたかという事実を記載します。

なんとなく頭の中で、自分はこの業界向けのシステムに関わる時間が長かったなぁということを
言語化して見える化することができます。
職務経歴書の記載は、自己PRにもつながるスキル棚卸のインプットになります。

自己PRを書くことによって得られるメリット

自己PRを書くためには以下の要素が必要です。

  • 自分の軸はどこに在るのか
  • 自分は何ができるのか

「自分の軸はどこに在るのか」を知る方法

「自分の軸はどこに在るのか」を知る方法は、
小学生、中学生、高校生、大学生、社会人になるまでに選択が必要だった場面を思い出し、
選択基準が何だったかを思い出すのが良いと思います。

例えば、私は高校生から大学生になる時に、工学部を選択しました。
工学部を選んだ理由は、結果のわかりやすいモノを作りたかったからです。
工学部の中でも情報系を選んだ理由は、インターネットの未来に大きな可能性を直感で感じていたからです。

また別のタイミングで、大学生から社会人になる時に、現職を選択しました。
現職を選んだ理由は、IT技術を駆使して社会に大きな影響を与えたかったからです。

このように、さまざまなタイミングで人は少なからず判断をしています。
その判断基準を思い出したり、改めて考えてみると自分が何を重要視して、どのような思いで今ここにいるのかがわかります。

この軸を明確にしておくと、実際に転職希望先の志望動機に、
自分の軸は○○で、現職ではこの部分に違いを感じた。
御社は自分の軸に合致しているから志望した。
といった志望理由を明確に書くことができます。

「自分は何ができるのか」を知る方法

「自分は何ができるのか」を知る方法は、
社会人で実務を行う上で、自分で選択や判断した場面や感情的になった場面を思い出し、
選択基準や感情的になった理由を思い出すのが良いと思います。
自分が選択や感情的になった場面というのは、他の人と意見が異なっていて、その上で自分で判断している部分なので自身の思いも強く語りやすい部分になります。

例えば、私はシステム設計で迷った時にシンプルな案を採用しました。
判断基準は今後の利用拡張が見込まれるサービスだったため、拡張が容易になるように
判断しました。

また、別の例では、会社の決済に関して感情的になったことがあります。
理由は、社内手続きが遠回りな部分があり、本質的ではないからです。

このように、社会人になってからどのような選択をしたり、どのような場面で感情的になったかを思い出すと自分の特徴やどのような考え方ができるのかを知ることができます。

SEに転職需要はあるのか

次にSEに需要はあるのか、ということについてです。
結論から言うと、あります。

現在も、多くの企業がDXと謳っており、IT人材はまだまだ需要は高いと考えられます。
また、IT業界の需要だけでなく、内製化の動きも相まっているため、IT業界以外への転職も可能なタイミングだと考えています。
実際に転職サイトで企業情報をみると、IT業界ではない企業のIT人材募集を多く目にします。

SEである以上、SE需要に関しては気にしなくても良いでしょう。

SEとしての強み

次にSEとしての強みは何か、です。

IT業界でSEをしていると、SEの強みが何かを忘れることがあります。
強みは経験した役割によって大きく3つに分かれると思っています。

  • マネジメントの役割
  • 設計や運用保守の役割
  • プログラミングやテスターの役割

実際に業務推進しているときは意識していなかったことでも改めて振り返るとこうだったなぁと工夫点を洗い出してみましょう。

マネジメントの役割

マネジメントは実は強みがありそうで意外と難しいと思います。
理由はメンバーが優秀な場合、マネジメントのスキルを発揮するのが難しいからです。
問題や課題に直面したことがある場合は、その問題や課題をどのようにして乗り越えたのかと言うことを説明できればそれが強みになると思います。

例えば、プロジェクト開始前にリスクを網羅的に洗い出し、顕在化させなかった場合は、事前にシミュレーションして先を見越す力に繋がります。メンバーと仲良く円満に推進したのであれば、対外コミュニケーションや品質・納期・コスト管理は当然ながらメンバーとのコミュニケーションを重視し、ワンチームで推進する力に繋がります。

設計や運用保守の役割

設計や運用保守では、品質や納期の問題が顕在化しがちなので、強みにつながる部分は多いと思います。
運用保守では障害対応スキルとして対外コミュニケーションスキルも高く評価されます。

また、設計スキルに関しては実際のSI業務そのものなので、どのような機能をどのくらいの期間で設計したのかだったり、設計の難しさを実体験としてPRできるのは即戦力として評価されることがあります。

プログラミングやテスターの役割

SIer業界ではなぜかプログラマーやテスターが簡単に見られがちですが、非常に重要な役割です。
しかし、簡単に見られがちなためPRにも気を使う必要があります。

例えば、Pythonで○○Stepsコーディングしましたと言っても、「誰でもできる」と思われてしまいます。
設計を実装するのに加えて、設計改善を図るような動きを見せたり、システム要件をおさえた上で工夫した点があるとプログラマーでありながら視野が広いことがわかり、強みとなります。

テスターの役割でも、テスト項目に沿ってテストをしているだけだと「誰でもできる」と思われてしまいます。
こちらは段取り力をPRするのがベターかと思います。
システム全体のどの機能のテストなのか、効率よく推進したり、クリティカルな部分を先にテストするために工夫したことなどをPRすると強みになると思います。

SEが転職しやすい業界の候補

ここまでSEの需要や強みを見てきました。
では具体的な転職先はどこがあるの!?に対し、実体験をもとに回答します。

IT業界のSE

1つ目は同業他社への転職です。

同業他社であれば、実務レベルで内容を知っているため、転職後の業務内容の想像も難しくないと思います。
一方で、「なぜ現職では実現できなかったことが転職先ではできるのか」の明確な解答を持っておく必要があります。

例えば、(そんな企業はないと思いますが)現職はオンプレミス思考でDXどころかクラウド利用すら遠い状態である。転職により、新しいIT技術に触れ、自身の成長にもつなげることができると考えている。
と言った明確な理由が必要です。

逆に言うと、転職しないといけない理由があれば、転職はできると思います。

コンサルティングファーム(コンサルのみ)

次にSIerから志望先の候補に上がるのが、コンサルティングファームです。
コンサルティングファームには大きく2種類あり、
1つはコンサルティングのみを行い、
もう1つはコンサルティング〜ソリューションまで行います。

ここではコンサルティングのみを行うコンサルティングファームを想定しています。

現職のSIerとして業務遂行する中で、自社への売上貢献が1番になって、社会貢献が2番になっていないか。
自分は何のためにシステム開発をしているのかという疑問を抱くことがあります。

そういったSIerはシステム開発が前提になっているソリューションに嫌気がして、より顧客のためにソリューションを提供できる位置に価値を見出します。

私もこのような考えからコンサルティングファームを志望していました。
一方で、コンサルティングファームを志望する場合は自己PRがやや難しい場合が多いです。

現職の実務経験とコンサルティングファームの実務で強みが重なる部分がないとお見送りとなる可能性があります。例えば、課題設定や課題解決プロセス、他者を巻き込んでいく力、対外コミュニケーションなどが重なるスキルとして挙げられます

コンサルティングファームは○○思考といったフレームワークを使うことが多く、SIerで聞くよりも広く深い考え方が求められます。この部分は転職後にキャッチアップする必要があるため、特に初年度はハードワークとなることが予想されます。

コンサルティングファーム(コンサル〜SIまで)

コンサルティング〜SI開発まで行うコンサルティングファームです。

こちらは前項のコンサルティングのみのコンサルティングファームに比べると、SIerからの転職はしやすいと言えるでしょう。一方で、多くの場合転職後に配属されるのは既に遂行中のプロジェクトへ配属となることが多いです。その後、上流コンサルを経験しながら、ソリューション提供まで担当すると言う流れが一般的です。

事業会社の社内SE

最後が事業会社の社内SEです。
事業会社とは、教育業界や金融業界などのIT業界以外の業界のことです。

事業会社はこれまで、システム部門は持っていましたが実際の設計開発や運用保守はITベンダーに任せることが主流でした。しかし、ビジネス変化に迅速かつ柔軟に対応するのは自社内で内製化することが重要になったのです。

実際に転職サイトには事業会社の社内SEの求人が非常に多いことがわかります。

事業会社はお客様が自社内であることが多いため、これまでITベンダーのSIerとして業務をしていた頃と比べると納期やコストは柔軟に調整ができると思います。

一方で、非IT部門である社内メンバーの要望を吸い上げ、纏めて、改善提案を実現するスキルが求められるため、やりがいは感じやすいと思います。

唯一リスクがあるならば、業界が縛られてしまうことです。

これまではITベンダーのSEとして多様な業界のお客様を相手にしていたため、業界を縛られず、選択肢が豊富にありました。しかし、事業会社に所属すると、事業会社の所属する業界知識が増えるため、特化してしまいます。業界を絞らずに多様な業界のソリューションに携わりたい方は注意が必要です。

まとめ

SEから転職するにあたり、
転職活動をするメリット、SEの強み(自己PR)、転職先の候補となる業界・業種について説明しました。
転職をすることを推奨しているのではなく、転職活動をすることが自身を振り返るきっかけになります。

また、転職活動を通じて改めて自社の魅力に気づくこともあります。仕事をする上でもやもやした場合など、きっかけは何でも良いと思いますので転職活動をやってみてはいかがでしょうか。

最後に実際にSIerから転職するために転職活動を行なった私が、転職のために実施したことや読んだ本を挙げます。転職活動にご興味がある方は参考にしていただければ幸いです。

SEから転職するときに参考になったもの

  • ストレングスファインダー

自分の才能は何で、何が欠点なのかを知るための本。
この本の中で語られている「クリフトンストレングス」という自己分析を是非試してみてください。
¥5,850 かかりますが、34個の特性から自分の強みと弱みを分析して、客観的に自分を見ることができます。

  • 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント

SIer視点からプロジェクトマネジメントを見ることはありましたが、SEから転職するにあたりコンサルから見たプロジェクトマネジメントを知る際に活用しました。

  • 伝説の「論理思考」講座

コンサルティングファームを志望するにあたり、事前に論理思考を改めて整理しておこうと思い購入しました。頭の中では論理思考とはこういうものという考えはありましたが、体系的に教えてくれた有意義な本でした。