2026 EDITION | CRASH BEHAVIOR SIMULATION
2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック、2022年のインフレショック——10年の中で何度か必ず来る「大暴落」。そのとき、どう行動するかで30年後の資産は数千万円単位で変わる。
結論から言えば、30年スパンで「淡々と続けた人」と「狼狽売りした人」の差は5,217万円。家1軒分以上の差が、たった「暴落時に何もしなかったか/売ったか」で生まれる。これが投資の最大の真実だ。
この記事では、月10万円積立、年8%リターン、5〜8年に1回くる暴落(-30%)という単純モデルで、継続派・休止派・撤退派の3者の30年後を比較。さらに「コロナ・リーマン実例」「自動継続を仕組み化する3つの工夫」「暴落で何もしないための具体策」まで、実用的に解説する。
① 3人のキャラクター設定
A:継続派(淡々)
暴落しようが何しようが、月10万円を機械的に30年積み立て続ける。SNSも見ない。
B:休止派(様子見)
暴落の年と翌2年は積立をストップ。「危ない時期はキャッシュで様子見」してから再開。
C:撤退派(パニック)
最初の暴落(7年目)で「もう投資はこわい」と全売却。以降22年間は投資せず。
② 30年後の3者比較
| タイプ | 投資元本累計 | 30年後の資産 | 含み益 |
|---|---|---|---|
| A:継続派 | 3,600万 | 6,110万 | +2,510万 |
| B:休止派 | 2,520万(休止9年) | 4,290万 | +1,770万 |
| C:撤退派 | 960万(8年目で停止) | 893万(撤退時現金) | -67万 |
30年後の資産は A 6,110万 / B 4,290万 / C 893万。AとCの差は 5,217万円。AとBの差でも 1,820万円ある。
※ 計算前提:月10万、年8%リターン、暴落(7年目・15年目・23年目)-30%。詳細は記事末のRECORD参照。
③ なぜA(継続)が圧勝するのか
「暴落のときに買うのが一番安く仕込める」と言われる理由は、シンプルにその時の積立分が、回復局面でリターンの源泉になるから。
CHECKPOINT — 暴落直後の積立は「最高の仕込み」
暴落年(t年目)に積み立てた120万円は、翌年+8%で130万円になる。一見地味だが、この「安く買えた120万円」が30年後に複利で雪だるまになる効果は、止めた人には絶対手に入らない。
B(休止派)は「暴落のときには積立しない」を選んだ結果、本来一番安く買えたはずの3年間を逃している。C(撤退派)は元本も含み益もないので、22年分の複利を完全に失っている。
④ 過去の暴落で学ぶ「復元力」|リーマン・コロナ・ITバブル
シミュレーションだけでなく、過去の実際の暴落でも「継続が勝つ」のは証明されている。S&P500の主要暴落から学ぶ。
| 暴落イベント | 最大下落率 | 高値回復までの期間 | 10年後の倍率 |
|---|---|---|---|
| ITバブル崩壊(2000) | -49% | 約7年 | 約1.0倍(長期低迷) |
| リーマンショック(2008) | -57% | 約5.5年 | 約2.4倍 |
| コロナショック(2020) | -34% | 約5ヶ月 | (進行中、4年で約2.0倍) |
| インフレショック(2022) | -25% | 約2年 | (進行中) |
注目は 「リーマンショック直後(2009年)に積立を始めた人は、10年で資産2.4倍」。最悪のタイミングで始めても、長期では大きく報われる。逆にリーマン直前のピーク(2007年)で始めても、配当再投資込みなら10年で約1.7倍。S&P500は1930年代以来、いかなる暴落からも10年以内に高値を更新している。
⑤ 「機械的継続」を実装する3つの工夫
① クレカ積立の自動化
手動で振り込まない。証券口座のクレカ積立を設定して、毎月強制的に買い付けさせる。「やる気」に頼らない。
② SNSとニュースを減らす
暴落時のSNSは絶望論で埋まる。アプリを開かない・通知をオフにする等の物理的な工夫で、感情を平静に保つ。
③ ルールを文字に
「暴落時は何もしない」と紙に書いて貼る。投資方針を文字にすることで、感情に流された判断を防ぐ。
⑥ よくある勘違い 3選
勘違い①「暴落は予測できる」
テレビやSNSで「次の暴落は◯月」と語る人は数多くいるが、当たった人はほぼゼロ。プロでも予測不可能なものを素人が当てられるわけがない。「予測して避けよう」は無理。「来ても続けるルール」を作るのが唯一の戦略。
勘違い②「暴落時は買い増しチャンス」
理屈ではYES、実行ではNO。「下がったら買う」と決めても、実際の暴落時は「もっと下がる気がする」と動けないのが人間。むしろ機械的に毎月買う方が、結果的に「安いところで買える」回数が増える。
勘違い③「暴落で売って、底で買い戻せばいい」
これが「狼狽売り」の典型ロジック。実際は 「売った後さらに下がるのが怖くて買い戻せない」 人がほとんど。コロナショック(2020年3月)で売った人の多くは、4月の急回復に乗れず、その後の2倍化を完全に逃した。
⑦ 暴落時に「何もしない」ための具体策
対策1: 生活防衛資金を厚く
生活費の半年〜1年分を現金で確保。これがあれば「投資を取り崩す必要」がなくなり、暴落時に売る理由がなくなる。
対策2: ポートフォリオを見ない
証券アプリを 月1回以上開かない ルール。日々の値動きは雑音。長期投資なら年1回チェックで十分。
対策3: 過去の回復を見る
暴落で不安になったら、S&P500の100年チャートを見る。一時的な「ヘコみ」でしかないことが視覚的に分かる。長期で見れば右肩上がり。
⑧ よくある質問(FAQ)
Q. 30年も続けて、もし途中で全部失ったら?
A. 全世界株式・S&P500のような分散インデックス投資なら「全部失う」可能性は限りなくゼロ。世界経済全体が消滅するか米国が完全破綻するシナリオが必要。仮想通貨や個別株への集中投資はリスクあるが、インデックス積立は歴史上最もローリスクな資産形成法。
Q. 50%以上の大暴落が来たら売るべき?
A. 絶対に売らない。リーマンで-57%下落しても、そこから5年で元に戻り、10年後には2.4倍。売ったら回復局面に乗れず、損が確定する。一番安いタイミングで売るのが最悪のパターン。
Q. 暴落タイミングだけ追加投資はあり?
A. あり。「-20%下落で月10万追加」のようなルールを事前に決めておけば実行可能。ただし「もっと下がる」と思って動けない人が多いので、自分の性格を理解した上で。基本は「機械的継続」が最強。
Q. 暴落のニュースに振り回されない方法は?
A. 情報源を絞る。SNS(特にX)の投資クラスタは暴落時に絶望論で溢れる。ニュースアプリの通知をオフにし、信頼できるブログ・書籍に情報源を限定。「触らない・見ない・反応しない」が最強の守備。
⑨ 30年シミュレーションの結論
3つの結論:① 30年スパンで「淡々と続けた人」と「狼狽売りした人」の差は5,000万円超。
② 「暴落時に休む」のも、複利を逃すという意味では機会損失(A−Bで1,820万円)。
③ 投資の本当の敵は「下落」ではなく、自分の「感情」。仕組みで自動化することが、最大のリスク管理。
過去のデータを見ると、リーマンショック(2008)・コロナショック(2020)・チャイナショック(2015)等、暴落は確実に起きる。でも、長期では必ず回復している。S&P500は1930年代以来、いかなる暴落からも10年以内に高値を更新してきた。「下げは怖い、でも長期で続けた人だけが勝てる」という事実を、数字でも体感しておきたい。
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📅 RECORD
初稿公開日:2026年4月30日
📚 シミュレーション前提
- 月10万円積立、30年継続(A)
- 暴落年:7年目・15年目・23年目(5〜8年周期、リーマン的サイクル)に -30%
- 暴落以外の年は +8%(30年平均で年5%相当のリターン)
- B:暴落年とその後2年(合計3年)は積立停止 → 4年目から再開
- C:最初の暴落(7年目)の年末に全売却して撤退
- 税金・為替・配当・物価上昇は未考慮
📝 編集ノート(運営者より)
本記事は、35歳メーカーシステムエンジニアで投資歴7年の運営者「ちぷるそ」が編集しています。投資歴7年の中で、コロナショック(2020)・チャイナショック余波・直近の調整局面など、複数回の下落を クレカ自動積立で機械的に乗り越えてきた 経験を持っています。狼狽売りで「実現損」を出した過去もあるからこそ、感情で動かない仕組み化の大切さを痛感しています。








