2026 EDITION | INVESTMENT SIMULATION
「いま投資を始めて、自分は60歳までにいくら貯まるんだろう」。この疑問を持ったことがある人は多いはずだ。けれど投資ブログを開いてみると、月1万円の話と月30万円の話が同じテンションで並んでいて、自分のケースの感覚が掴めない。NISA満額(月30万)の事例ばかり目にすると、「月3万円じゃ意味がないのか」と諦めムードになる人もいる。
結論から言えば、月3万円でも20代から続けられれば60歳で3,400万円になる。月10万円なら1億円台まで届く。「いくらか」より「いつから始めるか」が、最終資産を決める最大の変数だ。
この記事では、20代・30代・40代スタート × 5つの積立パターンを年利5%(S&P500長期平均の控えめ想定)で60歳までシミュレーションした結果を、1枚の表にまとめた。さらに「なぜこれだけ差が出るのか」「月3万すら難しい人はどうするか」「今日から始める3ステップ」まで、机上の数字を実生活に落とし込む形で整理している。
① まず全体像|積立額×年代の早見表
60歳ゴール想定。年利5%で月複利。「投資元本」と「60歳時点の評価額」を並べた。
| 積立額 | 20代スタート(35年) | 30代スタート(25年) | 40代スタート(15年) |
|---|---|---|---|
| 月1万円 | 元本420万 → 1,136万円 | 元本300万 → 596万円 | 元本180万 → 267万円 |
| 月3万円 | 元本1,260万 → 3,408万円 | 元本900万 → 1,787万円 | 元本540万 → 802万円 |
| 月5万円 | 元本2,100万 → 5,680万円 | 元本1,500万 → 2,978万円 | 元本900万 → 1,336万円 |
| 月10万円(NISAつみたて枠フル) | 元本4,200万 → 1.14億円 | 元本3,000万 → 5,955万円 | 元本1,800万 → 2,673万円 |
| 月15万円 | 元本6,300万 → 1.70億円 | 元本4,500万 → 8,933万円 | 元本2,700万 → 4,009万円 |
「20代・月3万円」と「40代・月5万円」を比べると、ほぼ同額の3,400万 vs 1,336万。同じ金額を積み立てるより、早く始めた方が圧倒的に効く という、投資の世界でよく言われる話が数字でハッキリ出る。
もう一つ目立つのは、20代・月10万円で60歳に1.14億円に届く点。月10万円はNISAつみたて投資枠(月額上限)にちょうど収まる金額で、現実的に「無理のない範囲」と「大台到達」を両立できる現実的なラインといえる。さらに月15万円まで上積めば、20代スタートで1.7億円。これは住宅ローン完済+子供2人の教育費を払いながらでも、共働きDINKSなら見えてくる水準だ。
逆に40代スタートでは、月15万円積み立てても4,009万円どまり。15年というスパンでは、複利の「雪だるま」が転がる時間が足りない。これが多くの記事で「投資は早ければ早いほどいい」と繰り返し書かれる理由だ。
② 5つの典型パターンを名前付きで眺める
抽象的な数字より、自分のライフスタイルに当てはまるものが分かりやすい。「あなたはどれに近い?」という視点で5パターン用意した。
①堅実派(月3万円)
20代スタート: 3,408万
30代スタート: 1,787万
40代スタート: 802万
②NISAつみたて枠フル(月10万円)
20代: 1.14億円
30代: 5,955万
40代: 2,673万
③NISA満額(月30万円)
20代: 3.41億円
30代: 1.79億円
40代: 8,019万
④平均的サラリーマン(月5万円)
20代: 5,680万
30代: 2,978万
40代: 1,336万
⑤共働きDINKS(月20万円)
20代: 2.27億円
30代: 1.19億円
40代: 5,346万
③ なぜここまで差が生まれるのか|複利のメカニズム
「20代から始めれば月3万でも3,400万円」「40代だと月5万でも1,300万円」。この圧倒的な差はどこから来るのか。答えは 「複利が雪だるまになる時間」。
たとえば20代スタートで月3万円を35年。投資元本は1,260万円。最終評価額は3,408万円。差し引き 2,148万円が運用益だ。元本の1.7倍が「ただ時間が経った結果」生まれている。一方、40代スタートで同じ月3万円なら、元本540万 → 802万。運用益は262万円しかない。
この違いを生むのが「複利の指数関数性」。資産が大きくなるほど、その年の利益も大きくなる。1年目の100万円に対する5%は5万円だが、20年後の数百万円に対する5%は数十万円。後半20年の伸びが、前半15年の伸びを大きく上回るのが複利の本質だ。
体感しやすい例:月3万円を年利5%で運用すると、最初の10年で約466万円(元本360万+運用益106万)。次の10年(11〜20年目)では約1,233万円まで増える(元本720万+運用益513万)。後半10年の運用益は前半10年の約5倍。20代スタートが圧倒的に有利な理由は、この「後半が膨らむ時間」を最も多く確保できるからだ。
逆に40代スタート(残り15年)は、ちょうど「複利が転がり始める前」で時間切れになる。だからこそ、40代以降は 「金額」を上げて時間の不足を補う必要がある。月15万円積み立てればようやく4,000万円台に届く(=20代の月3万円より少し多い)。
④ 同じゴールを違う年齢でやると、月いくら必要か
「自分は今◯歳。60歳までに5,000万を貯めたい」と逆算したい人向け。月いくら積み立てれば届くか、年利5%で計算したのが下表。
| 目標額 | 残り10年 | 残り20年 | 残り30年 |
|---|---|---|---|
| 3,000万 | 月19万 | 月7万 | 月4万 |
| 5,000万 | 月32万 | 月12万 | 月6万 |
| 1億円 | 月64万 | 月24万 | 月12万 |
1億円ゴールでも、30年あれば月12万。20年なら月24万。10年だと月64万——現実味のラインがそのまま見える表になっている。多くの人にとって「月12万」と「月64万」では達成可能性がまったく違う。早く始めるほど、月の負担が劇的に減る。
30歳でこの記事を読んでいるなら、月12万円を30年続ければ1億円が現実的なラインに入ってくる。NISAつみたて枠(月10万)+ 成長枠の少額(月2万)で十分カバーできる金額だ。
⑤ よくある勘違い 3選
勘違い①「月3万じゃ意味ない」
月3万でも20代から35年続ければ 3,408万円。これは老後2,000万円問題を完全にクリアする金額。「金額より続けること」が最大のテコ。月1万でも始める価値は十分にある(20代から35年で1,136万)。
勘違い②「年利5%は楽観的すぎる」
S&P500の1928〜2023年の年平均リターンは約10%。年利5%はその半分の控えめライン。むしろ将来の不確実性を織り込んだ保守的前提だ。年利3%で再計算しても、20代月3万→2,168万円とまだ十分大きい。
勘違い③「お金が溜まってから投資する」
「ある程度貯金してから投資を始めよう」と考える人は多いが、これは 複利の最大の敵。10年「貯金してから投資」を選ぶと、20代スタートが30代スタートに変わる。同じ月3万でも、最終資産が3,408万→1,787万。半分になる計算。少額でもいいから先に始めるのが正解。
⑥ 月3万すら難しいときの3つの選択肢
家計が厳しい時期に「月3万円は無理…」となるのは普通のこと。そんな時の現実的な選択肢を3つ。
A: 月1万円から始める
20代・月1万・35年で1,136万円。完璧な金額より「ゼロより始めた」が圧倒的に強い。SBI証券・楽天証券なら月100円から積立可能。
B: ボーナス時のみ年2回
毎月積み立てが厳しいなら、ボーナスで年6万(夏冬3万ずつ)でもOK。年6万×35年×年利5%で約540万円。
C: 昇給連動で増額
最初は月1万、昇給したら月3万、さらに5万、と段階的に増額。NISAは途中で金額変更が無料。生活水準と並走させやすい。
大事なのは「投資は途中で月額を変えてOK」という事実を知っておくこと。NISAは月数百円から月30万まで自由に変更可能で、ペナルティもない。始めの金額より、続ける仕組みを作る方が100倍重要。
⑦ 今日から始める3ステップ
STEP 1: 証券口座を開く
楽天証券・SBI証券・マネックス証券などNISA対応の口座を開設。スマホで20分程度。本人確認書類があればその日に申込完了。
STEP 2: つみたて設定
eMAXIS Slim S&P500 か オルカン(全世界株式)を月1万円〜から自動積立に設定。クレカ積立を選べばポイント還元も付く。
STEP 3: 見ない・触らない
設定したら証券アプリは月1回開けば十分。短期の値動きに反応せず、機械的に積立を続けることが最強の戦略。
⑧ よくある質問(FAQ)
Q. 年利5%って現実的ですか?
A. S&P500の1928〜2023年の長期平均は年約10%。NISA・低コスト投信のコストを差し引いても年7〜8%は期待できる水準で、年利5%は逆に保守的な前提といえます。ただし暴落・回復を繰り返すので、単年では-30%もあれば+30%もあります。
Q. 60歳で取り崩すまで触れないんですか?
A. NISAは いつでも売却可能。住宅購入や教育費など必要なら途中で取り崩せます。ただし複利の効果は途中売却で大きく目減りするので、できれば「使わないお金」を入れるのが理想。生活防衛資金(生活費の半年分)は別に現金で確保しましょう。
Q. 暴落で半分になったらどうすれば?
A. 何もしないのが正解。リーマンショック(2008)でS&P500は-57%下落しましたが、5年で元の水準に戻り、10年後には2倍超に。暴落時に積立を続けた人だけが、復元局面で大きな利益を得ます。詳しくは 暴落時シミュレーション記事 で解説しています。
Q. オルカンとS&P500、どっちがいい?
A. どちらも長期投資の鉄板。S&P500は米国一極集中で過去30年のリターンが最高クラス、オルカンは世界分散で米国一極リスクをヘッジできる。迷ったら半分ずつでもOK。eMAXIS Slimシリーズは両方とも信託報酬が業界最安水準で、長期保有のコスト面で優秀です。
⑨ シミュレーションが教えてくれる結論
3つの結論:① 始めた年齢の差は、後年になるほど取り返しがつかなくなる(複利は時間がほぼ全て)。
② 月10万円(=NISAつみたて枠フル)は、20代から30年走れば1億円台に届く現実的なライン。
③ 「自分には届かない」と思った数字も、20年スパンで割れば意外と現実的になる。
このシミュレーションには 暴落・税金・配当課税・為替変動・物価上昇 などは織り込んでいない。あくまで「複利の効き方を体感する」ためのモデル。本気で使うなら、少なめのリターン(年3〜4%)でも回ること を確認したうえで設計するのが安全。それでも「20代月3万で2,000万円超」「30代月10万で5,000万円超」が現実的なラインに残るので、本質的な結論は変わらない。
大事なのは数字の精度ではなく、「いつ始めるか」が「いくら積み立てるか」より重要という事実を体感すること。今日からでも遅くはない。月1万円からでも、まず始めてみることをおすすめする。
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📅 RECORD
初稿公開日:2026年4月30日
📚 シミュレーション前提
- 年利5%(S&P500長期平均を控えめに置いた仮定)
- 月複利で計算(FV = PMT × ((1+r/12)^(12n) – 1) / (r/12))
- 暴落・税金・為替・物価上昇は織り込まず
- 未来予測ではなく、複利の効き方を可視化するためのモデル
📝 編集ノート(運営者より)
本記事は、35歳メーカーシステムエンジニアで投資歴7年の運営者「ちぷるそ」が編集しています。NISA満額(月30万円)を継続中で、eMAXIS Slim S&P500と楽天SCHDの2銘柄構成で長期投資を実践中。シミュレーション値はPythonスクリプトで計算しており、数式の検証ご希望の方はお問い合わせからご連絡ください。
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