2026 EDITION | WEEKLY EARNINGS DIGEST #002
QUICK GUIDE / 3秒で「自分が見るべき銘柄」が分かる
連載「今週の決算情報」第2回は、2026年4月27日〜5月1日の5営業日にEDINETに提出された合計26件(有報21件+半期報告書5件)を整理しました。GW直前の駆け込み提出が中心で、前半週の38件と比べると件数は減りましたが、前回連載で取り上げた銘柄の続報がいくつも含まれているのが今週の特徴。前回紹介したアセンテックは好調がさらに加速、一方で前回プレ連載で取り上げたダブルエー・ハウテレビジョンは業績反転と、「中長期投資家が複数四半期にわたって同じ銘柄を追う重要性」を改めて教えてくれる週になりました。
① 今週の全体像|GW直前の駆け込み提出26件
| 提出日 | 件数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 4/27(月) | 11件 | アセンテック・ダブルエー・トーホー・三菱総研などピーク |
| 4/28(火) | 8件 | GENDA・HUMAN MADE・オーエムツー |
| 4/30(木) | 5件 | ブイキューブ・マクアケ・PLANT等(4/29は祝日) |
| 5/1(金) | 2件 | マルサンアイ・ホウライ(半期報告書) |
有報21件はすべて1月期決算企業の本決算(2025年2月〜2026年1月期)。半期報告書5件は9月期決算企業(三菱総研・マルサンアイ・ホウライ・PLANT・マクアケ)が中心です。
📈 今週の最大のメッセージ:連載前回(4/20-4/24)に取り上げた銘柄のうち、アセンテック(3565)・オーエムツー(7614)・イタミアートが続報入りしました。さらに前回プレ連載で「過去最高益」「大幅増配」と紹介したダブルエー(7683)・ハウテレビジョン(7064)が今期は反転——同じ銘柄を四半期ごとに追う「ウォッチリスト型投資」の威力と難しさが、両方見える週です。
② 注目決算を読み解く「3つの軸」
① 株主還元の強化
増配・自社株買い・配当性向の引き上げ。“会社が稼いだ利益を株主に返す姿勢”が見える。
② 業績サプライズ
事前計画に対する上方/下方修正、過去最高益、構造変化。“市場予想とのギャップ”が株価を動かす。
③ 中期経営計画
3〜5年先の経営目標。“会社が描く未来図”を理解すれば、長期保有の判断が変わる。
📚 用語ミニ辞典(今週の追加)
記念配当:創立周年や上場周年などを記念して通常配当に上乗せされる一時的な配当。剥落(はくらく)すると次期は減配に見える。株式分割:1株を複数株に分けることで、株価を下げて投資しやすくする手法。1株あたりの配当額は分割後の株数で表示されることが多いので、過去との比較は「分割考慮ベース」で行うのが基本。
③ 株主還元で動いた銘柄|今週も大幅増配ラッシュ
3565 アセンテック|【続報】配当倍増+AI事業参入+Vision2030発表
前回連載第1回(プレ第0回として2025年4月期データ)でも取り上げた、仮想デスクトップ(VDI)特化のITソリューション企業。1年でさらに大きく進化しました。
| 指標 | 前期(2025/1) | 当期(2026/1) | 伸び率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 14,587百万円 | 17,254百万円 | +18.3% |
| 経常利益 | 1,218百万円 | 2,894百万円 | +137.5% |
| 年間配当 | 15円 | 30円 | +100.0%(倍増) |
注目は新たに発表された「中期経営計画 Ascentech Vision2030」。3つの成長戦略を掲げ、AI事業に新規参入(「Edge AI Array」発表)、自社製品「リモートPCアレイ」の自治体・金融機関向けシェア拡大、米Cloud Software Group等とのアライアンス強化を3本柱に据えています。さらに株式分割も同時に発表、流動性改善と投資家層拡大も狙う、二重三重の攻めの一手。
8142 トーホー|業務用食品卸大手の連続増配+配当性向40%目途
業務用食品卸の国内最大手。売上+5.4%、経常+3.1%、配当125→150円(+20%)と着実に伸長。中期経営計画「SHIFT-UP 2027」(2025/1〜2027/1)の最終年度として、配当性向40%目途を中計中に達成する方針を明示。海外(シンガポール・マレーシア・香港・ベトナム)の事業強化、プライベートブランド構成比12%目標など、定量的な成長指標が並びます。
3921 ネオジャパン|SaaS型グループウェアの連続増配(+30%)
業務改善ツール「desknet’s NEO」「ChatLuck」を提供するSaaS企業。売上+13.3%、経常+27.3%、配当40→52円(+30%)と、利益成長と還元拡大を両立。配当はここ4期で14→20→23→40→52円と大幅に伸びており、累計で約4倍。SaaSモデル特有の継続収益で利益が積み上がる構造が、配当の継続増額を支えています。
3399 丸千代山岡家|ラーメンチェーン急成長、配当+187%
幹線道路沿いを中心に展開するラーメンチェーン「山岡家」運営企業。売上+24.3%、経常+26.4%、配当8→23円(+187%)と、ここ数年で業績・還元ともに大きく改善。配当の中身は「普通配当21円+上場20周年記念配当2円」。
新たに発表された次期中期経営計画では、新規出店15店舗、売上48,361百万円、経常利益5,300百万円、当期純利益3,630百万円を目標。原則直営での店舗展開を維持し、店舗内調理のチェーン店ナンバーワンを目指す方針。
4174 アピリッツ|Webサービス・ゲーム開発の+75%増配
Web ECサイト構築・ゲーム開発・データ分析が3本柱。売上+10.5%、配当16→28円(+75%)と、業績と還元を強気に拡大。前期も12→16円と着実に増配しており、3期連続の積極増配パターンに入っています。
④ 業績サプライズ&IPO続報|急成長と構造変化
9166 GENDA|売上+52.8%急成長&「2027年から配当開始」を明言
ゲームセンター運営「GiGO」を中核に、M&A戦略で急拡大中の連続買収企業。売上38,111→170,787百万円と4年で約4.5倍に拡大、当期も+52.8%(111,777→170,787百万円)とハイペースを維持。一方で経常利益は7,254→6,217百万円(-14.3%)とM&A消化負担で減益。
配当政策で重要な発表が出ました。「2027年1月期より配当を開始予定、配当額も規律をもって毎年増額予定」と明言。さらに自己株式の取得も機動的に実施する姿勢を示し、急成長フェーズから「成長+還元」フェーズへの移行を予告しています。
📈 初中級者向けの注目ポイント:「成長株から成長+配当株への変身」は、株価評価の見直しが起こりやすいタイミング。GENDAは来期2027年1月期から配当開始を公式に表明済みなので、いつ・いくらで開始するかが今後の注目テーマ。配当開始ニュースは個人投資家・配当ファンドの新規参入を呼びやすく、「変身銘柄」として中長期のウォッチ価値が極めて高いと言えます。
456A HUMAN MADE|NIGOブランド、IPO後初本決算で売上+27%
世界的クリエイター「NIGO®」が手掛けるアパレル&ライフスタイルブランド「HUMAN MADE」。売上+26.8%(11,258→14,273百万円)、経常+36.4%(3,176→4,334百万円)と、IPO後初の本決算で力強い成長を示しました。配当は未実施(成長過程のため内部留保優先)。
4年間で売上3,237→14,273百万円と約4.4倍のハイペース成長。日本発のクリエイティブブランドが世界市場でどこまで広がるか、長期的なロマンのある銘柄です。
3636 三菱総合研究所|半期報告、シンクタンク大手の業績
三菱グループのシンクタンク・コンサルティング大手。半期報告書での開示で、売上121,458百万円、経常9,734百万円。前年同期との比較では売上は伸長していますが、経常はやや減益。
シンクタンク業務、ITソリューション、政策提言など多角的な事業展開で景気変動に強い構造を持ちます。半期決算なので、上期で「下期を読む材料」を仕入れられる貴重な存在。
7614 オーエムツーネットワーク|【続報】静かな連続増配が続く
前回連載第1回でも取り上げた食肉小売中核企業(エスフーズ系)。配当34→36円(+5.9%)と、引き続き連続増配を維持。配当推移は24→24→24→30→34→36円と、緩やかながら確実に右肩上がり。今期は売上+7.9%、経常-5.8%(食材コスト上昇の影響)。
3665 エニグモ|BUYMA運営、経常激減でも+200%増配の謎
海外ファッション越境ECプラットフォーム「BUYMA」運営。売上+6.2%、経常 693→44百万円(-93.7%)と大幅減益、にもかかわらず配当10→30円(+200%)。これは特別配当・記念配当・財務余力の取り崩しなど、複数の要因が重なっている可能性が高い構成です。
⑤ 中期経営計画|今週開示された定量目標
| 企業 | 中計名/期間 | 主要目標 |
|---|---|---|
| 3565 アセンテック | Ascentech Vision2030(新発表) | 3つの成長戦略:①利益成長(AI事業参入)②シェア拡大 ③グローバル提携 |
| 8142 トーホー | SHIFT-UP 2027(2025/1〜2027/1) | 配当性向40%目途、PB商品売上構成比12%、海外事業強化 |
| 3399 丸千代山岡家 | 次期中計(2027/1期初年度) | 新規出店15店舗、売上48,361百万円、経常利益5,300百万円 |
| 9166 GENDA | 中期経営計画(M&A継続) | 2027/1期から配当開始予定、毎年増額方針、自社株買い機動的実施 |
4社とも、定量的な数値か、明確な政策表明(「2027年から配当開始」など)を打ち出しているのが特徴。「曖昧な目標」ではなく「数値で語る経営」は、長期投資家にとって信頼性を測る重要なバロメーターです。
⑥ 警戒・要観察銘柄|前回好材料銘柄の「翌週反転」が連続発生
連載第2回の最大の警戒メッセージは、「前回プレ連載で好材料として紹介した銘柄が、翌週決算で反転している」ことです。前回連載のCasa(7196)に続き、今週はダブルエー(7683)・ハウテレビジョン(7064)で同様のパターンが発生しました。
7683 ダブルエー|前回「+94%大幅増配」が今期は減益・減配
| 指標 | 前期(2025/1) | 当期(2026/1) | 伸び率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 17,102百万円 | 17,892百万円 | +4.6% |
| 経常利益 | 1,243百万円 | 974百万円 | -21.7% |
| 年間配当 | 23円 | 17円 | -26.1% |
前回プレ連載では「株式分割考慮ベース実質+94%の大幅増配」と紹介した銘柄ですが、その内訳が「普通配当24円+上場5周年記念配当10円」だったため、記念配が剥落するのは想定内。問題は普通配当部分も24円→17円に減ったことで、これは経常-21.7%の業績悪化を反映した実質的な減配です。配当性向は50.2%と高水準を維持していますが、配当の絶対額は下がりました。
7064 ハウテレビジョン|前回「過去最高益」が今期は経常-37.9%
外資就活ドットコム・Liiga運営。前回プレ連載では「連結初年度で過去最高益クラス」と紹介しましたが、今期は売上は+18.0%(2,167→2,558百万円)と伸びた一方、経常利益は400→248百万円(-37.9%)と大幅減益。広告宣伝費・人材投資の積極化が利益を圧迫しました。配当は引き続き無配。
その他の警戒銘柄
| コード | 企業名 | 概要 |
|---|---|---|
| 7674 | NATTY SWANKY HD | 「肉汁餃子のダンダダン」運営。経常利益が前期△12百万円→当期△516百万円と赤字拡大、配当も10円→無配へ。前回プレ連載でも警戒銘柄入りだったが、状況は更に悪化。 |
| 3681 | ブイキューブ | ビデオ会議システム。経常△2,026百万円と赤字拡大。配当は無配継続。コロナ特需の反動が長期化。 |
| 3955 | イムラ | 封筒製造。経常利益 1,342→1,184百万円(-11.8%)の小幅減益、配当30円維持。本業の構造的縮小傾向は要警戒。 |
| 9632 | スバル興業 | 道路舗装+シネコン運営。配当は400円→80円→80円維持で前期の大幅減配が継続。 |
⑦ 全件リスト|2026年4月27日〜5月1日 EDINET提出書類(26件)
| 提出日 | コード | 企業名 | 書類 |
|---|---|---|---|
| 4/27 | 168A | イタミアート | 有報 |
| 4/27 | 3565 | アセンテック | 有報 |
| 4/27 | 3636 | 三菱総合研究所 | 半期 |
| 4/27 | 3665 | エニグモ | 有報 |
| 4/27 | 3921 | ネオジャパン | 有報 |
| 4/27 | 3955 | イムラ | 有報 |
| 4/27 | 4334 | ユークス | 有報 |
| 4/27 | 7674 | NATTY SWANKY HD | 有報 |
| 4/27 | 7683 | ダブルエー | 有報 |
| 4/27 | 8142 | トーホー | 有報 |
| 4/27 | 9632 | スバル興業 | 有報 |
| 4/28 | 446A | ノースサンド | 有報 |
| 4/28 | 456A | HUMAN MADE | 有報 |
| 4/28 | 4174 | アピリッツ | 有報 |
| 4/28 | 4813 | ACCESS | 有報 |
| 4/28 | 7064 | ハウテレビジョン | 有報 |
| 4/28 | 7073 | ジェイック | 有報 |
| 4/28 | 7614 | オーエムツーネットワーク | 有報 |
| 4/28 | 9166 | GENDA | 有報 |
| 4/30 | 278A | Terra Drone | 有報 |
| 4/30 | 3399 | 丸千代山岡家 | 有報 |
| 4/30 | 3681 | ブイキューブ | 有報 |
| 4/30 | 4479 | マクアケ | 半期 |
| 4/30 | 7646 | PLANT | 半期 |
| 5/1 | 2551 | マルサンアイ | 半期 |
| 5/1 | 9679 | ホウライ | 半期 |
⑧ まとめ|連載第2回で見えた3つの教訓
① 続報追跡こそ連載の真価
アセンテックは前回好調がさらに加速、ダブルエー・ハウテレビジョンは前回好材料が反転。同じ銘柄を四半期ごとに追うウォッチリスト型投資の威力と難しさが、連載第2回でハッキリ見えました。
② “配当開始予定”は変身銘柄のサイン
GENDAが「2027年から配当開始+毎年増額予定」を明言。成長株から成長+還元株への変身は、株価評価倍率の見直しと新規投資家層の流入を呼び込む長期的なターニングポイントになり得ます。
③ 記念配当は配当評価の落とし穴
ダブルエーが象徴するように、「記念配当込みで大幅増配」は翌期に剥落しがち。配当方針の本文を読み、「普通配当」と「記念配当」を必ず分けて見るクセをつけることで、こうした”配当の見せかけ”に騙されません。
📈 ポイント:連載が2回続いたことで、「同じ銘柄が翌週どう動いたか」を読者と共有できるようになったのが今週最大の前進です。アセンテックの加速、ダブルエー・ハウテレビジョンの反転、Casaの中計下方修正——個別銘柄の動向を週単位で観察することで、“投資判断の解像度”がじわじわ上がっていきます。EDINETを毎週眺める習慣の価値が、読者の中にも少しずつ蓄積されていくはずです。
⑨ 来週予告|GW明けの3月期決算スタート
来週(5/4〜5/10)はゴールデンウィークの後半+GW明けの3月期決算ラッシュ序盤戦に入ります。注目したいのは次の3点。
- 3月期決算企業(プライム主力)の本決算スタート:東証プライム上位の大型銘柄の通期決算が出始める。総合商社・銀行・自動車・電機の還元方針に注目
- 中計の発表ラッシュ:3月期決算と同時に、新中期経営計画(〜2030年・〜2031年)が一斉発表される時期。業界再編の起点になり得る
- 続報組の四半期報告書:連載第1〜2回で取り上げた1月期決算企業の第1四半期報告書(5月中旬以降)。中計の進捗が早期に見えるかも
本連載は、毎週EDINETの一次情報から「中長期投資家のためのウォッチリスト」を一緒に育てていきます。今週から第3回への準備を始めましょう。
📅 RECORD
最終更新日:2026年5月5日
初稿公開日:2026年5月5日
連載シリーズ:「今週の決算情報」第2回
📚 データ参照元
- EDINET(金融庁 電子開示システム):2026年4月27日〜5月1日提出の有価証券報告書21件・半期報告書5件
- 各企業の有価証券報告書/半期報告書(提出日: 2026年4月27日/4月28日/4月30日/5月1日)
- 業績数値・配当・中期経営計画等は提出書類本文より引用
- 本記事公開時点の最新情報を基に作成
📝 編集ノート(運営者より)
本記事は、35歳メーカーシステムエンジニアで投資歴7年の運営者「まもる」が、EDINET一次情報を直接読み解いて編集しています。NISA満額(月30万円)を継続中で、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と楽天・高配当株式・米国ファンド(楽天SCHD)の2銘柄構成で長期投資を実践中。日本株の個別銘柄は保有していませんが、決算分析を通じて「自分で考える投資家」を増やすことを目的にこの連載を続けています。本記事は投資推奨ではなく、判断材料の提供を目的としています。投資判断はご自身の責任で行ってください。事実誤りや疑問点に気づいた方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。








