JPXプライム150指数の構成と狙い

2023年7月3日からJPXプライム150指数という新たな指数がスタートしました。

日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった新陳代謝の悪い指数が多い日本株でS&P500やNASDAQのような上昇の期待できる指数となることができるのか、JPXプライム150の趣旨や構成銘柄から確認したいと思います。

JPX プライム150指数の狙うところ

東京証券取引所が2023年3月末に、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための改善策を開示・実行するように要請しました。
その後、5月や6月の決算資料にはPBR改善のための施策を示す企業が増え、一定の改善の方向に動きました。

過去になく、東証は日本企業に対してメスを入れる動きをしています。このような動きの中でJPXプライム150指数が誕生しました。

JPXプライム150指数の狙いは、株価資本コストや株価を意識した経営の実現にあります。この狙いは選定基準に明確に現れています。

JPXプライム150指数の選定基準

JPXプライム150指数は「価値創造が推定される我が国を代表する企業」で構成します。

ここで言われる価値創造が推定される企業とは以下の2点が重視されます。

  • PBR(株価純資産倍率)が高いこと
  • エクイティ・スプレッドが高いこと

エクイティ・スプレッドとは、予想ROE – 株主資本コスト(期待リターン率)で算出されます。
下の図は、JPXの示す「価値創造が推定される企業」の簡易な基準です。

上記の大方針から150銘柄を選択するための明確な基準を設けています。
それがこちらです。

例によってわかりにくいフローなので、簡単にまとめます。
それぞれの基準で1から順にフィルターをしていきます。
最後に残る75銘柄ずつが構成銘柄になります。

基準1(エクイティ・スプレッドによる75銘柄選定)

この基準により、株主の期待を上回る好決算を出している企業の選定をします。

  1. プライム市場の時価総額上位500銘柄であること
  2. エクイティ・スプレッドの上位75銘柄

基準2(PBRによる75銘柄選定)

この基準により、株主の期待する企業が75銘柄選定されます。

  1. プライム市場の時価総額上位500銘柄であること
  2. PBRが2期連続1倍超である銘柄
  3. エクイティ・スプレッドの上位75銘柄を除外
  4. 時価総額上位75銘柄

これらの基準1及び基準2でそれぞれ75銘柄を選定し、JPXプライム150の構成銘柄とします。いずれの基準も株主の期待を上回る「価値創造が推定される企業」ということになります。

具体的な構成銘柄

選定基準は分かったけど実際の構成銘柄はどうなの?
ということで、実際の銘柄を見ていきたいと思います。

基準に照らし合わせて選定された銘柄には以下のようなものがあります。
特にウェイトの高い銘柄を10個紹介します。

  • ソニーグループ(5.7%)
  • キーエンス(4.1%)
  • 日本電信電話(3.1%)
  • 東京エレクトロン(2.5%)
  • 日立製作所(2.4%)
  • 武田薬品工業(2.4%)
  • 第一三共(2.3%)
  • 任天堂(2.2%)
  • HOYA(2.1%)
  • 信越科学工業(2.1%)

勢いのある企業群が並んでいる印象があります。
また、ウェイトの最も高いソニーグループにおいても5.7%程度で特定企業への偏りもありません

なお、11番目以降には三井物産や伊藤忠商事などの商社も登場します。

新陳代謝の悪い市場から、成長の期待できる銘柄が割と的確に選定できていると思います。

JPXプライム150指数への投資の仕方

現在、JPXプライム150指数に連動する投資信託やETFはないため、商品の登場まで待つ必要があります。

近い投資商品として、eMAXIS JAPAN クオリティ 150インデックスがあります。

組入上位目銘柄には、信越科学工業、ファナック、SMC、ソニーグループ、HOYA、キーエンスといったJPXプライム150で構成される銘柄も含まれています。

eMAXIS JAPAN クオリティ 150インデックスのベンチマークとなっているiSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックスの銘柄選定基準は、流動性や時価総額、高ROEなど市場期待を加味しているためJPXプライム150に近い銘柄になっているようです。